投稿日: Apr 15, 2011 11:23:8 PM
消費の大きな変化を感じる方へ
4月14日に行ったセミナー『ネット通販の利用実態・ソーシャルメディア層をつかめ』(報告記事1)の後半は、アスキー総合研究所が実施した国内最大のネット・コンテンツ調査MCSをベースに、遠藤諭氏がネット利用者の行動パターンを分析した。当日のパワポは http://www.mediverse.jp/ で見ることができる。結論からいうとマスメディア時代のマーケティングに人をクラスタわけしていた属性、つまり今CRMで扱っているような項目で捉えられないのが、人が家の中や出先でネットにどのように接触しているかであり、パソコン・ケータイ・スマホなどに人々が関わっている時間の総計はマスメディアに匹敵するか、若い人ならマスメディアを凌ぐほどになっていて、そのことはマスメディア時代の属性によるマーケティングの見直しが必須であることを感じた。
遠藤氏の説明の中では、20歳代の男性がネット動画を見る平均視聴時間は他世代や女性の倍以上で、さらによく見ている人はTV以上の時間を割いていることになる。またネットでのビデオレンタルはビデオレンタルの中に占める割合は4%弱でしかないが、毎週ビデオレンタルをするヘビーユーザーに限るとネットレンタルは20-30%と頻度が高いほど上がって行き、コンテンツ・メディア利用の変化についてどの当たりから変わり始めているかがMCSのクロス集計でわかる。
20代というと大学生の時にmixiを利用していたような世代で、社会人になる前にソーシャルメディアを使いこなしていたという点ではこれからの時代の変化を先取りした世代である。遠藤氏は20代と30代での行動や購買の差をいくつか説明して、これらの世代をソーシャルネイティブ層(参考記事『新しい日本人とどう付き合う』)として見ると理解しやすいこと、また今までの世代のような金銭や所有物へのこだわりがないが、メディア・コンテンツにはこだわりが強い傾向があることを指摘した。そして経済指標的にはビンボーでもハッピーにくらいしてる「ビンボーハッピー」な生き方が、若年層やそれ以外の層にも波及する可能性も感じた。
ネットは怪しいとか危険という論調の中で、違法なコンテンツがコピーされまくっているという印象があるが、既にニコニコ動画でも違法性の排除はされて、ブレイクしたのは初音ミク関連とか、若い人自身が創り出したコンテンツになっている。またビジネスマンが日経新聞を共通の話題にして会話するように、ニュースなどをソーシャルメディア上で共通の話題にしていて、新聞がもっていた社会性をネットでも帯びるような段階にある。
しかしこのようなネットでの情報共有や購買が一般化したのはたかだかこの10年の事柄であり、特にAmazonを始めネット通販や、mixiやYouTube、twitterなどのソーシャルメディアが日常化したのはここ5年以内のことで、それで新しいライフスタイルが始まっているというのは、従来のマーケティングの人がとても追いつけないような変化の速さである。マスメディア時代のマーケティングはあくまで日本全国老若男女というマスを対象にする場合には有効でも、それが必要な局面は半減した。むしろ商品単品のモニターをするよりも、ジャンルを超えた日常生活の俯瞰的な捉え方をして仮説検証していくことが重要になりつつある。