投稿日: Dec 01, 2014 12:26:4 AM
ここ2-3年にわたってICT関連ニュースを賑わせていたウェアラブルのガジェットはどこへいくのだろうか?元々のスケジュールならとっくの昔に発売されて、人々が飛びつくものになっているはずではなかったのか? 少なくともニュースの論調はそのようなものであった。ニュースソースに言わせれば、多少時期がずれているということのなのかもしれないが、そうであっても遅れた原因というのはちゃんと分析する必要がある。
よく考えてみるとグーグルグラスとかリストバンドとかでやろうとしていたことは、ARでも音声入力でもスマホのスケールダウンのようなものであって、改善点といえばポケットからスマホを取り出す必要がない点くらいのものではないか?スマホは、その先祖である携帯電話に対して、ユーザインタフェース革命をしたもので、ある面では単純化した指先操作を受け継ぎつつ、Webの世界をも呑み込んでいったものであった。
それによって世界的にインターネット人口を増やしていったところにビジネスの伸びシロがあったので、先進国だけで見るとあまり伸びシロがあるとは思えない状態になっている。それでさらなる第2のユーザインタフェース革命としてAR云々が出てきた。しかしそれはまだ十分にこなれたものとはなっていない。
つまりスマホで第2のユーザインタフェース革命によってどこまで行けるのかという限界が見えてきた時に初めてスマホとは異なるガジェット&デバイスの出番が出てくるのではないかと思う。しかしハードウェアを作って売っている会社にとってみれば、スマホが伸びなくなった分だけ別の新たな商品を作らなければならないわけで、それがヘッドマウントディスプレイとか腕時計型デバイスの性急な開発を促したのだろう。
これらも実用性がないわけではなく、業務用としてはニッチな世界で活躍しているはずだが、一般の人にとっては必要欠くべからざるものになるのかどうかは疑わしい。それはまだウェアラブルを成立させるための条件が必ずしも揃っているわけではないからだ。その代表的なものが電池と通信だろう。これは相互に関連している。
3GでもLTEでもWiFiでもかなり電気を喰うので、相当省電力の無線が開発されなければならないとか、あるいはリチウムイオンに代わる更にスーパーな電池が必要になるし充電方法も何とかしなければならない。無線で充電もできて超近距離通信にもなるモノが登場するといいのかもしれない。
これらが次なるイノベーションの土台であって、サムスンがアップルの真似をしているなどデザイン云々という問題ではないと思う。将来的にはウェアラブルなユビキタスコンピューティングは絶対に来ると思うのだが、そこを目指した真面目な議論は意外に少ない。
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