投稿日: Mar 13, 2012 12:22:58 AM
備えあれば憂いなしと思う方へ
仙台を訪れた際に、意外なほど中心部に被害がみられなかった。これは過去から何度も地震に見舞われていて、建築が少々の地震に耐えられるように設計されていたからだろう。東京で最も地震被害の顕著だった浦安でも記事『震災に対して人は無力だが…』に書いたように、JRもビルも深く杭打ちしてあるので無傷だが、地表はうねったり液状化で民家は壊れた。阪神大震災の際には木造の実家が倒壊しなかったものの土壁や屋根瓦の下につめた土がヒビだらけになって、その後1年かけてポロポロ崩れていって、結局壁と屋根はやり直しになった。東北で津波の被害を免れたところでも、地震で痛んだ民家などに補修の必要性が多くあるだろうと思う。地震に強い民家の構造を明らかにすれば、世界に役立てもらえるだろう。
記事『3.11震災1周年(津波)』では過去の被害の言い伝えが重要な情報であったように、未来の人が少しでも被害から免れるようにメッセージを残すのが、今日生きているものが復興とともにすべきことだと思う。地盤や立地や建物の構造についてはそれぞれの専門家がすでに研究のとりまとめをしているが、生活者の視点での防災というのも整理して、一人でも生き残れるような知恵を残す方法があるのではないか。日常生活の中で、家具の固定や看板の取り付けなどにも日本固有の防災意識が表れている。海外の報道を見ても、日本人が震災の際に冷静な行動をとっていたことが不思議のようにいわれているが、これも過去からの災害経験で、津波とはどういうものか、揺れの程度の判断などが、各人わかっていたからだろう。
3.11は関東大震災の9.1とは6ヶ月の隔たりがあるので、この両方を震災の日として、家庭・学校・職場で何らかの訓練をする日にするのがいいだろう。学校では夜間歩行の行事があったりするが、それも3.11に合わせて災害避難も想定して実施するとか、そこで備蓄していた保存食を消費して新しいものに入れ替えるなどが考えられる。9.1も防災ピクニックなどにすれば、保存食などは半年サイクルで入れ替えられるし、多くの人が日常生活の中で避難を体験することができる。
それと都市部の問題としては交通渋滞や輸送網の回復が大きな課題であることもわかった。これは買い溜めパニックなどに結びつくので、災害時はいったん市場経済に任せるのを制限して、物流になんらかのルールをつくることが必要だし、長期的には過密な街というのも緩和しなければならないだろう。こういった都市設計的な点はまだ手が回っていない。