投稿日: Sep 30, 2013 12:21:40 AM
書籍ビジネスに変化が起きるとしたら…
紙の本の価値がなくなったわけではないが、情報価値があっても見つけてもらえないものが累積的に増えていくことに、これといった手を打てないところが問題である。人々が簡単に見つけることが出来るベストセラーや話題本は今後も紙の本のビジネスは続いていくだろう。見つけてさえもらえれば、手にとってそのまま読める紙の本のメリットは大きい。しかし毎年日本で出版される7万点余の殆どはすぐに書店の棚から歯抜けのように消えだして、1年も経つと何処に行けばあるのかわからなくなる。
本が発見されるには書評のような紹介やアフィリエイト対策、検索エンジン対策をどうしていくかが課題である。書評サイトは本好きの特定の人しか行かないだろうから、アフィリエイトと検索エンジンが埋もれたコンテンツを経済化するために重要であるが、本の場合はその対策が非常に後手になっていると思う。むしろ音楽の方が多様な対策をしている。blogで本を紹介してアフィリエイトで小遣いを稼ぐ人は多く居る。これは月何千円であったり、あるいは専門家によるblogでは何万円単位が多いであろうが、これらが無数に増えてくればさらに書店の市場を奪うことになるだろう。
検索エンジンの対策としては、検索内容の詳細は本で得られるというという関連付けが本筋で、実用書などは目次や要旨がWebに出て居るが、検索語に関連した本文を「立ち読み」できるようにしている例は少ない。本のコンテンツに強い興味をもってもらえれば、そこからオンライン注文や電子書籍の販売につなげられるはずだが、おそらくそういった書店を介さない流通方法をプロモーションすることを出版社はためらっているのだろう。しかし結局プロモーションを躊躇していたのでは売れない。
これを音楽の場合と比較すると、音楽家-音楽事務所-レコード会社-流通、というつながりと、作家-出版社-流通、というつながりの違いのように思える。つまり音楽家と事務所が一体となってオンラインやライブという新しいビジネスを推進してきたのと比べて、作家の場合はその立場で一緒に仕事をしてくれる事務所がないので、出版社-流通というビジネスの仕組みからはずれたことができ難いのであろう。
アメリカのように作家のエージェントが出版社への売り込みをしてレベニューシェアするような関係ができると、作家-エージェント vs 出版-流通 という力関係ができて、本のプロモーションやコンテンツの権利ビジネスがもっと多様なものになるのではないだろうか。