投稿日: Nov 11, 2013 12:22:46 AM
ビジネスの視点が必要
ソフトウェアや電子書籍の中古や譲渡という問題はまだこれといったコンセンサスはできていないだろう。ソフトウェアで利用者のオンライン認証をしている場合は、譲渡する前に権利放棄すれば売ってもよいものがある。Adobeなどもそうだったと思う。おそらくKindleなども割りと細かい規定を作っていたと思う。今は各ソフトやサービスごとに規定を作っているが、コピーにさえならなければ利用権は移動できるようになるだろう。しかしそうした規定にのっとったカタチでグレイな利用法というのはいろいろ考えられる。安い値段で2次流通する業者が出てくるかもしれない。
また待合室のようなところに置いて不特定多数の人が見るようなものも、正規の利用の範囲に入るだろうが、待合室の範囲が狭い場合はともかく、こういう利用法をどこまで認めるかは難しい。タブレットや電子書籍端末装置の数がダブついていくると、端末とコンテンツの込みで貸し借りがされるようになるだろう。同様に端末とコンテンツを共同購入してみんなで使うということもある。部活などは部費で購入して学内で共同利用するとか、端末ごと貸し出すのは便利であろう。
前者の安い2次流通の話は、CD/DVDレンタルや貸本サービスとダブっている。レンタル認可されたものはグレイではないが、電子書籍でも事実上の貸本サービスは存在するので、電子書籍レンタルを正式に認めるかどうかの課題がある。電子書籍はCD/DVDほどは繰り返し利用されないのでレンタルには向いているが、売る側の抵抗も大きいだろう。しかし避けて通れないと思う。
後者は図書館サービスの課題である。記事『どこでも図書館(2)』や、記事『図書室から図書館へ』では大学向けに学術ジャーナルのオンラインライブラリサービスのようなB2Bの裾野も拡大にふれたように、こういった電子書籍のバルク販売は新しい市場を形成すると思う。言い換えるとB2Bはオトナ買いに似ていて、予算の許す限りとりあえず関心の範囲をまとめ買いするものである。大学が図書館予算の中で最大量のコンテンツを仕入れるのと同様に、待合室でも部費でも一定額を予めコンテンツに割り当ててくれるからだ。
もうひとつグレイなエリアは魚拓のようなアーカイブの問題である。デジタルコンテンツは配信データがコピー不可能でもプレゼンテーションの段階では何らかの方法ではコピーできるので、バッファリングやキャッシングとコピーを区別するのは難しい。魚拓は販売を目的としたものではなくアーカイブであって、例えばネットでの配信が終了したものは見れなくなるが、それらを残しておきたい研究用にはきっとどこかで行われているものである。
これら今は正規のコンテンツ販売からは抜け道と思われているものも、抜け道を許さないという規制をするよりも、そこにコンテンツの楽しみ方・ふれ方の必然性を見出して、ビジネスとして取り組む方が広がりがでると思う。