投稿日: Feb 06, 2016 1:17:59 AM
メディアのデジタル制作は世界的に進行し、今まで電算写植などがなかったような言語でもDTPという手段が使われるようになって、デジタルドキュメントはビジネスの基本になっていったが、日本のように自力で電算写植を開発していた国は、なかなかDTPには満足しなかった。
このことは未だに尾を引いていて、ドキュメントのクラウド利用とか電子図書館とかネット上に新たな知的環境を構築することで日本はビハインドになってしまった。記事『黒船論の矛盾』ではもう手遅れな出版界のことを書いたが、学校や一般企業でも相当手遅れ感があると思う。
DTPの時代から欧米のベンチャーが日本でもデジタル制作とか関連したデジタル環境を日本にも売り込もうとして相談をもちかけられた。しかしかれらのプレゼンを日本の出版界にも一般企業にも理解できるようにするのは困難だった。その根本原因は、日本のコンテンツホルダーは自分で制作業務をする気が無いので、システム化のメリットがピンとこなかったのである。
当時の大企業ではドキュメント処理専門の子会社を作る傾向があって、そういう場合はIT化も進んだが、子会社が親会社に新たな案件を提案することは難しく、小さな改善にとどまらざるを得なかった。進学産業もIT化に熱心であってシステム化をすすめる部署もあったりしたが、基本的には作業は外注だったので、発注先までまたがったようなシステム化には限界があった。出版社は制作会社を持つことも稀ならシステム要員もおらず、ITの蚊帳の外であった。
結局大企業のドキュメントシステムはかなり国際水準のシステムになっていると思うのだが、他のところは置いてきぼり状態で今に至っている。以上の反省から、制作側だけがデジタルでどれだけ頑張っても、また顧客のことを考えて分析してよい提案をしても、話を判ってもらえる発注者があまり居ないというのが日本の現状で、ドキュメントシステムの開発企業にとってよいお客さんは外資系企業だった。
ただ日本でも若い企業は合理的に物事を考えるので、創業10~20年くらいの会社とか、ベンチャーに近いところは提案に値する。
若干一般企業向けの状況が切り開けたのは、BPOという顧客の社内業務を請け負う形態の方が、一点ごとの外注よりもメリットがありそうだということになって、年間契約などでドキュメント業務をすることが広がったことである。それは発注者からすると外注管理の業務が減らせるからである。言い方を変えると外注管理も外注していることになって、年間の予算管理から作業者の雇用から、改善目標設定まで丸投げをするような感じだから、BPOの中でシステム化を進める余地は出てきたと思う。
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