投稿日: Sep 20, 2012 2:36:20 AM
プロはどこに目をつけるべきかと思う方へ
日本でのkoboの出版ペースが目標に達していないことから、koboが追加しているタイトルが、中身としては楽譜だったり、絵一枚だったり、Wikipediaの人物記事だったり、あれこれ無理やりかき集めて員数あわせをしているという書き込みがされている。しかしkoboで見るものが大先生の小説でなければならないなどと、誰が決めたのだろうか。昔から絵葉書1枚でも楽譜でも地図でも出版なのである。出版には何の制限も無いので、タロットカードをkoboで眺めるようにしたところで、それを外部の人がどうこう言う筋合いのものではない。
私は楽天koboの実情はしらないので、ひょっとすると出版企画や編集の人材が極端に足らなくて、無計画な無茶をしているだけかもしれないが、逆に既存の出版企画や編集ではない路線を行こうと考えている人が居るのかも知れない。今のところの日本語koboリーダーの適性としては、ゆっくりページをめくる小説のようなものに向いているのかもしれないが、そもそも小説やビジネス書だけで今後のコンテンツビジネスをしていくにはいろいろな無理があって、流通の簡素化とともに薄利になっていって小出版というニッチな世界が主体になっていくと思われる。
ヒットを狙う大衆的な出版はエンタテイメントのくくりでマーケティングを考える角川のような経営と、どこからともなく湧いてくるゲリラ出版になるだろう。後者は予測不可能であるが、前者はアメリカのハリウッドのようなシステム的な配給網とか科学的なマーケティングを高度化させるだろう。Amazonなどは自分でやろうと思えばできるだろうが、それらが自分で出来ない出版社のためのアウトソーシングのサービスが今後の出版を変えていくと考えられる。紙の本の場合は取次ぎという会社が出来て配本から諸々のサービスをしていたようなことが、今度はネット上のプラットフォームになる時代だろう。既にAmazonはいろんな意味で出版に関連したサービスを本体でも子会社でも行っているが、それ以外にもマーケティングサポートが興っている。
ネットの野次馬は仕方ないにしても、プロが今後の出版を考えるときに、紙の出版のアナロジーを引き合いに出すのはもうヤメにしないといけない。むしろ今まで出版機会がなかったコンテンツや、消費者との接点がなかったコンテンツというものが、紙であれデジタルであれ、今ビジネス化が考えられるようになりつつある、という意識にならないと、いくらAmazonその他が新しいプラットフォームサービスを提供しても、今までと同じ縮小路線から抜け出すことはできないだろう。
電子出版再構築研究会 名称:オープン・パブリッシング・フォーラム Ebook2.0 Forumと共同開催
10月17日(水) 新しい出版マーケティングの時代(予定)