投稿日: Aug 09, 2012 12:40:30 AM
ソーシャルメディアにふさわしい広告を考える方へ
2012年に入ってからの記事で、ガラケー・iモード時代のケータイ有料コンテンツがスマホ時代に移行できないのは、スマホというイノベーションにふさわしい情報サービスになっていないからということを書いているが、やはり顧客のライフスタイルや技術革新という背景の上にビジネスモデルというのは成立するのであって、それらの土台が変化するときにはビジネスモデルの再検討が必要になる。それがコンテンツビジネスであり、それらに関係したジャーナリズムや広告などでもある。しかし日本の出版が既存のビジネスの枠組みから出られないように、ジャーナリズムもHuffPostのようなものは日本で生まれないし、広告も斬新なものは日本ではあまり見受けられない。
モバイルの有料コンテンツビジネスを圧迫しているのがYouTubeであろうことを以前に書いたが、ちょうど数分単位の暇つぶしにもってこいの動画がいっぱいあるからだ。YouTubeとiOSの蜜月が終わるという報道があったが、これはYouTubeのビジネスとしての成長を物語るものだろう。ただし今の広告は利用者にとってはイヤガラセのようなものなので、これから本格的にYouTubeにふさわしい広告というのが考えられるだろう。
最近気づいたのだが、YouTubeに音楽のライブ映像をアップしているものがいろいろある中で、いたちごっこのようにUploadと削除が繰り返される場合に、いくつかのオトシどころができていることだ。例えば日本では見られないが他の国ではみられるとか、Upload主が変わってみられるようになるなどである。前者の場合は欧米の映像で地元のレコード会社はOKしているものの、日本のレコード会社がOKしていないのではないかと思われる。後者の場合はヨーロッパのTVで放映されたビデオとかDVDがUploadされて消され、そのうちのいくつかがGibsonによって再Uploadされた。これはライブなどの話題のものの中からGibsonのギターを弾いているもののみが選ばれて、Gibsonが権利処理してUploadしたものと思われる。
つまりGibsonとしては自分でコマーシャルフィルムを作るのではなく、YouTubeに勝手にUploadされたものの中から、人々によく見られていて自社製品の広告になりそうなものの権利処理だけを引き受けることで、YouTube利用者には引き続き見ることができて、GibsonGuitarCorp のチャンネルにも誘導できる賢いやり方だ。Gibsonはソーシャルメディア上のコンテンツにスポンサーシップすることで、Gibsonの魅力をアピールできるわけだが、これに広告代理店が絡んでいるかどうか知らない。この場合に人気の有名ミュージシャンである必要はなくソーシャルに着目度が高くリピートの多い評価の高い音楽コンテンツが中心になっているようなので、広告の専門家の出る幕は少ないだろう。
電子書籍やデジタルコミックでも人気コンテンツの短編を販促目的で無料とか低額にして、それらでお試ししてもらった上で大型商品へのupsell を狙うことは増えていくだろう。一時だけの着目の多さに多額をかける従来の広告・販促から脱出し、本来のコア層に密着していくありかたが、ソーシャルメディア時代の広告の一つの道だろう。
電子出版再構築研究会 名称:オープン・パブリッシング・フォーラム Ebook2.0 Forumと共同開催