投稿日: Feb 08, 2016 1:25:33 AM
何年か前にSNSが騒がれた際に、UGC(ユーザー・ジェネレーテッド・コンテンツ)ということも話題になった。そのうちYouTubeは広告モデルとして大きく成長したが、Ustreamなどは日本のオペレーションを閉めるなど下降線を辿った。YouTubeもUstreamも、それらのサービス単独ではなかなかコンテンツが見つけてもらえず、告知にtwitterやfacebookなどが必要になることは同じだ。YouTubeは当初時間制限をしていたのでショート動画専門に、一方Ustreamはカメラをまわしっぱなしの動画に、という使い分けがされたが、人々は後者を見るのに耐えられなかったということだろう。
アナログ時代から、ビデオといえば、撮りテープ→カット割り→編集→完パケ などのように何度も加工・保存を繰り返して仕上げていく。YouTubeのように短時間にまとめるためにはこの全工程が必要になるが、Ustreamは最初の撮りテープに相当するものだけである。家庭のホームビデオでも過去の撮りテープをそのまま見るのは大変苦痛だ。子育て動画も、せめて撮ったあとにカット割りくらいはしておかないとお蔵入りになってしまうだろう。
結局コンテンツを人に見てもらうためには、如何に見やすいように、また判ってもらえるように誘導するかを編集という作業を通じて、また時間をかけて反芻するように試行錯誤をしなければならない。だからソースとなるコンテンツがユーザージェネレイトなのか、プロのプロダクションが撮ったものかが問題ではなく、この時間のかかるオーサリング作業を個人がシコシコするのか、何人かの分業体制で組織的に行うのかに違いがあるというだけだろう。
昔からアニメコンテストなどでは個人がシコシコ作ったものが高く評価されることはあったが、1年に1作でうまくいったかいかなかったかというような時間のかけかたをしていていは商売にはならない。またそういう取り組みはアマチュアでも特定の熱心な人しかしないので、編集も含めてのUGCが急に広がることにはならない。
つまり動画の良質なコンテンツを増やしたければ、アマチュア向けに限定してシステム開発やサービス提供をするのは間違いで、プロでもアマでも時間のかかるオーサリングを手助けするものが先になければならない。
例えば動画を撮る時点で、人々はカチンコを使ってカット割とかテイクの区別について何らかの工夫をしているが、それがカメラなりストレージなりの操作と連携していない点はいまだに多くある。取りながら「OK」とか「もう一回」とか合図をしておいてあとでカット割り作業をするが、本当なら動画ファイル内にオーサリングに必要なマーキングも入って、半自動的でも後の作業が楽になるようにすべきである。カチンコの音(特殊な音にして)で自動カット割りをすることくらいはできそうだ。
UGCはダメだったというつもりはなく、本当に必要なことがまだ足りないということだろうと思う。
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