投稿日: Aug 16, 2011 11:17:4 PM
日本の空洞化を思う方へ
個人的には秋葉原は思い出深い場所である。私は中学校の時には名古屋に居たが、修学旅行でお茶の水の宿に泊まることが決まったときに、CQ誌の広告を集めて秋葉原のジャンクショップマップを制作して、自由行動の時間にどれだけ店を回れるかという計画をたてた。そのときに実際に見て回ったあとで通販も利用するようになった。また高校の時は大阪の日本橋に通っていたし、就職して東京に転勤になった際も、秋葉原を通過するところに住もうと考えた。というわけで秋葉原の店の入れ替わりは45年ほどにわたって知っている。秋葉原通いのポイントはつぶれそうな、消えてなくなりそうな店を優先的に徘徊することで、レアもの接することである。例えば日本語のワードプロセッサの登場時期には、市販されなかった試作品がジャンクとして出ていたことがあった。またCD-ROMの中古では、レコード会社のマスター作り用の100万円クラスのドライブが、剥き出しとなってジャンクにまぎれていたこともあった。
最初は格安品を探すのが目的だったが、次第にジャンクから情報を得るという要素が強くなった。昔の電子雑誌は回路図がいっぱい載っていたのに対して、ICが多用される時代になってからはアナログな回路でも図面化される情報が出なくなったので、ジャンク基盤から回路図を起すことで、どんな仕組みなのかを知ることができた。これは製品の動作からはわからない、とんでもないカラクリがあってびっくりすることもある。そういう回路解析は今ではWebなどに情報があり、『気の迷い』などが有名である。このサイトでも取り上げられているが、今はとんでもないカラクリというのは100円ショップに並ぶような中国製の電子製品に多い。しかし状況は大きく変わりつつある。
最近は秋葉原でヘンテコな電子部品の店が激減したこともあって、ネットで世界中のヘンなものを探すようになったのだが、ピカ一は香港深圳あたりの通販である。これはもう怪しいものではなくなって、Appleを筆頭に世界の有名どころの製品のパーツとかモジュールが出てくる。これは当然で中国南部の組立工場が世界中にモノを送り出しているので、そこで余ったものが流出しているのである。例えばノートPCの電源アダプタなどは非常に豊富にある。ちょうど秋葉原がかつて電子部品のメッカとしてにぎわっていたようなことが、かの地で起こっている。これは別にIT製品に限らず、例えばLED電球の中身も、電源部・LED.・レンズなどバラバラになった形で売られていて、日本では2000円近くする完成品を、部品として1000円以下で買うことができる。白色LEDの小さなものは100個100~200円くらいである。
しかもまだ日本では製品が売られていないような最新のものですら部品レベルで売られている。水銀灯に代わる、広い庭を照らす(我が家のことではないが)100WのLED投光器(完成品)が日本の数分の1の15000円くらいである。当然ながら怪しい小物もいっぱいあって、USBドングル型のeSATA変換機、SDカードを2.5インチHDDの代わりにするアダプタなど、秋葉原でもなかなかないものも何百円のレベルである。秋葉原なら、あきばお~とか三月兎、GENOとかが買い付ける対象が、ネット通販で世界中どこからも手に入る時代である。ただし送料などを考えると小物を通販で買ってもトクにはならない。3.11以降はGM管を輸入する人が増えたように、手に入るものがネットで驚異的に広がるという点が今日の面白さである。