投稿日: Feb 23, 2013 12:53:9 AM
日本のDCは大丈夫かと思う方へ
昨日Yahooのデータセンターの近くに行った。アメリカでは鶏舎のように例えらたものとは違ってモダンな建築であった。しかし設計思想としては鶏舎と同じような感じで、外気が内部に入って上から煙突で放熱するという、空調にエネルギーを使わない構造をとっている。そのためか、あるいはシンボルとしてか、ビルの壁は窓のブラインドのような横にスリットのある形をしていて、なんとなく外から内部が透けてみえそうな感じだった。既に一棟が完成していて、横に第2棟が建設中であるために、基本的には鉄骨の柱だけで組み立てられている様子がわかる。
この構造では、通常のコンクリートビルのデータセンタで必要な空調などのエネルギーが、サーバそのものに必要なエネルギーよりも上回るものであるのに対して、サーバのエネルギーの1.2倍くらいで済むという。アメリカで発達したデータセンター建設の柔軟な考えを日本に導入した面白い例である。アメリカではコンテナ型やモジュール方式や、またARMベースや、さまざまな方向にデータセンタの分化・進化が始まっていて、かつてのコストがかかる、OneFitsAllの時代ではなくなりつつある。これはコンピュータでいえばホストコンピュータからダウンサイジングに向かう時代に相当するし、通信では専用線からインターネットへ向かう時代に相当する。
要するにアメリカは産業が発展するには分化・進化があって、その競争の中でいろんな最適化モデルが出てくることが当たり前だと考えるのだろう。しかし日本は過去の最もよいものに固執してしまうので、ホストコンピュータを長きにわたって使うとか、インターネットは危ないとか、今ではクラウドそのものに踏み切れないで、データを外部に置くわけにはいかないという、一種の精神論で管理している会社や組織もいまだ多くある。
従来のサーバビジネスもこういった迷信に依拠して続けていると、コストが下がってきたアメリカ流のデータセンターのイノベーションにひっくり返される日が来るだろう。
Yahooは首都圏と北九州と白河の3箇所にデータセンターを作っているが、これはやはり日本の基幹のクライアントを考えると、日本内のクラウドであることを必須の条件にしているところが結構あるからだろう。Yahooがブロードバンドで成功し、iPhone・iPadの輸入で先行した感覚が、このYahoo! JAPANとその傘下にあるIDCフロンティアのクラウドビジネスに賭ける動向にも現われているように思える。Yahoo健在というところか。