投稿日: Apr 30, 2013 1:6:7 AM
ネットはコラボに役立つと思う方へ
NHKのテレビで八代亜紀がニューヨークに行ってjazzを録音するという番組をやっていた。ちょっと見たのだが、あまりにもお互いのバツが悪すぎて消してしまった。日本から楽譜を持って行って、合わせようとしているのだが、歌う方もバックを努める地元のミュージシャンもお互いにいきなり録音するのはムリだろう。jazzを含めて黒人音楽は楽譜道理に再現するものではないので、お互いが音楽的に同じ雰囲気を共有していないと始まらないからだ。むしろ同じ雰囲気に浸っていれば楽譜を踏み外してアドリブに走ってもおかしくはないし、そんな中から絶妙なセッションができたりする。だから知らない同士がセッションをしようという場合は、最初から楽譜など出さずに、お互いが知っている曲から始めるのが一番よいと思う。それをやっているうちにお互いの手の内や特徴がつかめて、コラボレーションで曲を盛り立てられる。
記事『メディアで伝わらないライブのgroove感 』ではアメリカ黒人のChitlin(chittlin) Musicがどのような行われているかを書いたが、7時開演と書いてあっても7時ミュージシャンはおらず、三々五々集まってきて、人数が揃うまででもなんかやり始めている。八代亜紀の場合で考えると、突然全パートが楽譜を見て演奏しだすのではなく、まずピアノと八代亜紀だけがあわせ始めて、曲が大体サマになってきたら、ベースとかドラムを加えていくというような、慣らすプロセスが必要だろうと思う。ライブの場合の曲順のsetlist自体がそうなっているのが自然だろう。だいたい黒人大衆音楽にリハーサルというものはなく、実際に開演しながらボチボチ合わせていくのである。
これは黒人音楽には皆が共通する部分があるからできることで、jazzでもsoulでも非黒人が始める場合には有名なアーチストのレコードを聞くだけでなく、有名でない人でもどういう点を共有しているかを知っておくことが重要である。それは共通のレパートリーになるようなスタンダード曲とかで、その裏にはbluesとかgospelなどに根付いた要素がある。もしそういった基底になる共通要素に興味が無かったとすると、一緒にセッションをすることは無謀といわざるを得ない。
黒人音楽の半分は踊りとか stompin' や hand clappin' のような手足のフリを伴うものなので、これも日本人がレコードからだけではピンとこない点だったかもしれない。しかしライブやコンサートの様子からかなり想像することはできた。今日ではYouTubeに相当量の黒人音楽も載っているので、少なくともスタンダードな曲がアメリカで、世界で、どのような形で演じられているのかをあらかじめチェックすることはできる。またミュージシャンの自己紹介もYouTubeで行われている時代だから、知らない人とセッションをする前に自分のをアップしておいて見てもらうこともできる。
冒頭の八代亜紀の番組の印象では、NHKも音楽事務所もネット時代にはまだ全然そぐわない日常があるように見えた。おそらく日本のビジネスの大半も同じことだろう。ネットでの日常のコミュニケーションがリアルな活動を変えていくには10年とかの単位の変化の積み重ねになるのだろう。