投稿日: Mar 22, 2013 1:5:55 AM
負担軽減が大事と思う方へ
企業経営では売上を上げるとか利益を出すことは必須だが、意味の無い支出を減らすことも同時に行わないと、全体としては効率が落ちる。今日本全体が効率を落としているが、その中で公共料金とか税金とか公的なものが国民生活や企業活動の足を引っ張ることが多い。バブルの崩壊以降に企業はリストラとか事業の再構築に懸命であったが、それでもある程度回復するには10-20年を費やした。ITによる業務改善も世界のトップクラスでは無くなったにしても、企業のコストダウンには効果をもたらすようになった。しかし公共分野とか官公庁はまだそこにも至っていない。維新の会が選挙のたびに公の非効率とか無駄使いを指摘しているが、簡単には旧体制は変えられないだろう。
というのは八ッ場ダムどころではない話をいたるところで聞くからだ。特許庁のシステム構築放棄もびっくりだったが、いったい公の予算行使がどれだけの成果をもたらしているのか、国民は殆ど知らないのだ。昨年4月の記事『後進性はスクラップにすべき』では千葉で戸籍に使う和文タイプが手に入りづらくなって困っているということを書いた。今はどうなったのかと思ったのだが、和文タイプのオペレータが集まらなくて、集めても平均年齢が70くらいになるという。私は千葉県のどこの田舎町かと思ったのだが、それは千葉市だった。例えば稲毛海岸のマンションに新婚さんが移り住んで新たな戸籍を作ろうとした際に、元の戸籍を取り寄せて千葉の戸籍係りに持っていくと、以前の戸籍はたいていコンピュータのアウトプットの横書きであるが、それを元に和文タイプで縦書きで新たな戸籍が作られると言うのだ。
ここにはいくつかの問題がある。千葉もコンピュータ化の予定はあるが予算の問題で遅れている。しかし戸籍は法務省が扱うものだから、法務省のコンピュータで全国のデータをもっていて、地方自治体はその端末を置けば済むことがされていないことである。過去100年分の日本人すべてをデータ化してもfacebookの利用者よりははるかに少ない。第一の問題は中央官庁が問題解決をする意向を見せないことである。これはエリートの意識の低さなのだろう。
第二は過去のしがらみで、戸籍システムのコンピュータ化の場合は、これに関わってきた業者6社の調整が無いと前に進まないという。これは外字問題とかさまざまな課題があるということなのだろうが、こういう問題があることをいいことに、個別の改修が業者の売上につながっていて、システムが一元化されてしまうと業者が食えなくなるとか、公の側では業者に面倒を見てもらえなくなるという問題である。こういうアプローチに勝ち目はなく、延命に過ぎないもので、業者や発注者から自己革新が出来ないことを示している。
第三の問題は、住民台帳と戸籍の二重管理である。世界では戸籍など無くしているところが多く、国が家系図などに関与しなくてもよいというような考え方の切り替えができないことである。これは国際的な人の行き来が多くなると負担や矛盾が増していくものだからだ。一方で実用上はコンピュータで住民の管理が出来れば大抵のことは用済みになる。韓国は国民背番号だが戸籍は無くしている。こういったことに日本は誰も英断を下せないようになっている。
もし今新たに国家を造ったならば、日本が遣っている金の何分の1で同等の機能が果たせるだろう。
その他いろいろな補助金とか助成金も含めて、社会システムを動かすべき公が機能しなくなって、その結果として無駄使いの権化になっていて、その穴埋めを税金と言う形で民がしている。この前提で薄利の経営をするから、補助金や助成金や既得権くらいなければやってられないというのはおかしいし、こういう意識では国際競争で負けるのは当然である。むしろ業務改善を提案・受注することで税金を半分にするくらいの目標を掲げるべきだろう。