投稿日: Jan 14, 2012 1:6:12 AM
再起のできる社会が必要と思う方へ
逆説的にいえば解雇や倒産・併合があるから社会がよくなる。問題を抱えているビジネスとか業務を変えないということを続けていけば、社会の中で組織や個人の活動は選択肢がだんだん減っていき、できることや可能性が狭まって社会そのものが硬直化していく。本来なら組織のガバメントのメカニズムとして自己革新が機能していれば、抱える問題の解決に自分で向かえるはずであるが、組織が抱える問題というのが自己革新ができないということならば、その組織はリストラとか運が悪ければ倒産するしかない。それによって問題を取り除いた業務として再スタートするというのは悪いことではない。
一般にベンチャーとか起業というと、他の人が考えないアイディアが先行するようなイメージがあるかもしれないが、この20-30年の間に着実に伸びた会社を見ると、特別に変わったことをする会社でも、一攫千金を狙う会社でもなく、自分の弱点を地道に克服してきた会社である。長期のビジョンを持った組織でも、長期にわたって自己革新できなければ、環境変化には対応できないわけで、自力で仕事や人の関係の組み換えができなければ、解雇や倒産・併合ということで過去のやり方を壊すしかない。これをさっさとするか、先延ばしにするかという判断が残っていて、日本は先延ばしにして悲劇的な結末を招きやすい。
これを積極的に考えて、自己革新ができなくなったなら、あまり悲劇的ではない組み替えれをすれば、組み替えるほどよくなるし、社会的にもフレキシビリティが増す。組織を固定的なものと考えずに、いわゆるPDCAのサイクルのように組織のモディファイを続けていけばよい。それがステークホルダ間の調整ではうまくいかなかった場合に、例え解雇や倒産・併合が起こっても、再起できやすいようにすることが重要である。アメリカの失業保険というのは、来週にはクビかもしれないという現実の裏返しであったし、個人の職歴やスキルを登録制にしたスカウト形式の転職のサービスも発達した。要するに個人としては今の仕事が不幸な結果になっても、次に行けるところの目途がたっていればよいのではないか。
日本のベンチャーが不利なのは、失敗が後に尾を引く点で、失敗を経営者に全責任を負わせるのではなく、できたこととできなかったことの評価をきちんとすれば、その人の可能性というのも、またどのような組み合わせがよいのかという判断もできるはずだ。また働く人の評価も同様で、自他共に何ができて何が課題かを見える化していくことが、スムースな組織の組み替えの条件になる。日本でも遅ればせながらいろいろな個人資格が出てきていることは、合理的な組織化ということにつながっていくことになるだろう。