投稿日: Feb 28, 2014 6:45:7 AM
そろそろ決断の時
雑誌の販売実績(参考:雑誌部数動向2013年10-12月)を見ると、「あの雑誌はまだ存在していたんだ」と思い出すほど雑誌からは遠ざかっている昨今である。雑誌に限らず日本のマーケティングは「柳の下に鰌が何匹?」というほど似た企画が横並びになって、お互いにマーケットをシェアしていたのは、市場全体が伸びていたからである。日本の人口増加が止まった後も、高学歴化、女性の社会進出や、富裕な高齢者増などの要因があって、国内需要は伸び続けていた。だからバブルが弾けたあともしばらくは景気後退はしなかった。
しかし今世紀に入ってからは少子化がさらに進んだこともあって、国内市場の縮小が各産業を直撃するようになって、それぞれの分野の中で勝組と負組がはっきり分かれるようになった。
週刊誌というのもお互いがライバルで切磋琢磨しているように見えても、まだ似た者同士という印象はある。出版企画といっても媒体設計というレベルでの革新はあまり起こっていないように思える。雑誌というものは「世につれ…」という性格があるので、一号毎の部数についてあまり一喜一憂する必要はないが、企画の路線については世相との関係、言い換えればライフスタイルとの関係をいつも問い直していかないと、企画そのものが化石化してしまう。
つまり読者にウケることばかり考えていると、特定の読者にしか読んでもらえない雑誌となり、その読者層が毎年都市をとるわけだから、10年も経つと一世代上の読者層になってしまい、昔は大学生が読んでいた週刊プレイボーイが、とても今の若者が読みそうにもないオッサンくさいものになる。
またライフスタイル追従という点では、小学何年生という雑誌は子供向け通信教育に負けたといってもよい。子供の娯楽は雑誌以外に多くあり、親が紙媒体に期待したのは学力向上であったからだ。リクルートの情報誌の場合のように雑誌媒体から別のビジネスモデルに変わらざるを得ないこともあった。
要するに何千部~何万部のニッチな雑誌を目指すのではなく、何十万部以上の雑誌経営をするには、このような新たな読者を取り組むとか、ライフスタイル変化にあわせて自分が変身するとかしないと、長続きはできない。
アメリカの雑誌は短期型と長期型の2つに分かれると思う。商業雑誌といわれるものは短期型で、パソコンの啓蒙をする雑誌がそうであったように、市場の盛り上がり時期だけ広告で思いっきり稼いで発行できれば役割は終わりで、簡単に廃刊してしまう。その代り出版社はいつも次なるネタを探し、仕込んでいる。これはこれでいいのだろう。
長期型のものはニッチであり、その世界のコミュニティ誌であり、広告への依存は減らして、購読料をとって直接送付するサブスクリプション形式をとる。
結局日本の雑誌はまだ経営が中途半端なのだろう。有名雑誌でも10万部を割り始めているのだから、広告モデルは諦めて、熱心な読者と末永く付き合うような舵取りの変更も考えるべきだろう。そういう割り切りをしないとネット媒体と抱き合わせた出直しも考え難いだろう。