投稿日: Dec 24, 2013 12:14:43 AM
紙に刷る理由が問われる
2013年の日本のネットビジネスが伸び悩んでいることを記事『ずり下がるネットビジネス』で書いたが、印刷はまだまだとめどもなく落ち込んでいくようにみえる。オフィス文書が主のXeroxの下方修正とか年賀ハガキ販売をめぐるゴタゴタとかプロの印刷業界の外でも紙メディアの下降をうかがわせる事象は多くなっている。年賀状の枚数が減って、宛名ソフトを使うのをやめて手書きに戻した知人がいる。高齢者ならなおさらかなと思う。年末の贈答のカレンダーや手帳も無闇に配ることはなくなったわけだが、最近は配る前に必要かどうか聞いてくるところがある。
紙製品の押し付けが当たり前であった時代ではなくなってきたのだろう。郵便受けには相変わらずポスティングのチラシがいっぱい入っている。最近それらを一瞥で捨ててしまって、あとからどうも封書がそこに含まれていたらしいことがわかって慌てている。新聞購読が減って幾分だけ伸びてきたポスティングではあるが、あまり目立つと規制されるようになるかもしれない。
今までは不必要な部数は印刷しないとか、B2チラシがB3になって面積が半分とか、印刷の物量が減ってくることが起こっていたのだが、そもそも印刷物にはしないという分野がこれからは広まっていくかもしれない。デパートのお歳暮商戦というのもすっかり姿を変えてしまった。以前はお歳暮用に立派なカタログを作って配り、デパート内に大規模なお歳暮の特設会場を作って対応していたものが、今は何分の一の規模になってしまった。それはネットでお歳暮の受付ができるからであるが、もうひとつはお歳暮のカタログを何ヶ月も前から用意することが難しいことがあるだろう。Webならアイテムの追加も削除も自由なので、在庫がなくなる時点でWebカタログから落とすことは容易である。
しかもネット通販となってしまうと、何もデパートでなくても、個人商店でも楽天とかYahooでお歳暮の受注をすることができる。印象に残る商品を出しているところは自分のブランドで直接ビジネスできるのがネットである。実際は通販サイトが扱うものが主ではあろうが、デパートの存在感はネットではあまりなく出遅れているのが実情だろう。流通とは切り離されていた今までの印刷カタログ販売の見直しはすべきである。
ネットである程度伸びたサイトが、後から紙のカタログを作り始めることもあるが、それは昔の通販カタログやお歳暮カタログとは位置づけが異なって、印刷物需要としては大部数カタログの埋め合わせになるものではない。年賀状、手帳、カレンダーなどもなくなりはしないのだろうが、それらを紙で出す根拠というものを考え直してみる必要がある。それは「それでも紙にしたい」点は何なのかを突き詰めないと、従来の販促では空回りになることが目に見えているからである。