投稿日: Dec 22, 2015 12:43:12 AM
まだ切り込み隊長って呼んでいいんですか?山本一郎氏がネットで詐欺まがいのベンチャーを摘発しておられる。主に氏が関ってきたネットベンチャーの世界での怪しい会社の内情を調べるようなことが多いが、金融業界の摘発もある。おそらく氏の本業においても、投資先の信用調査とか事業主の経歴や人柄の調査のようなことを日常的にされていて、その延長上にキナ臭い案件も浮上しているのではないかと推察する。氏のように本当の事業家と時流に乗って金を転がすだけの人を嗅ぎ分ける人は意外に少なく、そのことも「ネットは怪しい」という風説につながっているように思える。
昔からベンチャー企業の破綻は珍しいものではないが、破綻の裏側で資金隠しをしてトンズラする輩も少なくなかった。それは最初からそのような意図があったとは限らず、事業がなかなか思うように前進しないにも関わらず、資金調達だけは順調にできるようになって、魔がさすとでもいうのか、事業そっちのけで会社ころがしに変身してしまうことがあるからだ。ホリエモンも実業家のように言われることがあるが、彼が実際に事業として携わったのはホームページ制作会社だけで、その後ライブドアの関わりの先は虚業であったので、彼の発言には何の重みも感じられない。彼の場合は詐欺師というよりはギャンブラー的な資質だったのかと思う。
インターネット界隈にはネットビジネス特有の急成長の期待という誘惑があって、資金も集まりやすいのかもしれない。また「今を逃したら…」という即決を促す要素もあって、投資の先行きもじっくり考慮させないような雰囲気もあるのだろう。だからこそ投資案件そのものではなく、そのビジネスの基盤となる技術やマーケットの動向などによく通じている人以外が投資に手を出すのは危ないと思う。
事業コンセプトはよくても実際に事業を切り開いていける実力があるのかどうかを見分けるのは大変なことなので、場合によっては事業の片棒を担ぐくらいのつもりでないと、関らない方がいいだろう。むしろシリコンバレーを見ていると、事業展開の実力のあるところが、初期投資の段階を外部のベンチャー企業にやらせているような関係の方がスムースに進むのではないか。
例えばネットビジネスをしているところが、何らかの機能追加をしたい場合に、最初は開発元に外注して、うまくいきそうになったら会社ごと吸収してノウハウの流出を防ぐというようなやり方である。これを逆に言えば、大きな顧客のついていないようなベンチャーは実力が認められていないのかもしれない。
ハイプカーブのことを記事『インフラ・ビッグデータ・仮説』や『BtoCは1日にして成らず』で書いたが、イノベーションが起こる初期の期待期というのは空騒ぎの時期でもあり、イカサマ師が活躍しやすい時なのは確かだ。
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