投稿日: Oct 03, 2011 10:6:32 PM
eBookの革新性を考える方へ
WordでオーサリングしたままをePubに変換するオープンエンドの Smart ePub の無料版のダウンロードが9月29日からできるようになったが、すぐに反応があってdownloadされたもののレポートが発表されたり、tweetされたりしている。最近は新製品が少ないせいもあって新しいもの好きは退屈していたのかもしれない。しかし残念なことに無料版はWordからの変換だけなので、いろいろ弄って遊ぶことはできない。有料のPro版はDreamWeaverのような操作性が加わるとともに、バージョンが進んでリンクを貼ったり音や映像を貼ってアプリぽいことができると聞いている。縦組みも日本語ビュアが安定してくれば対応できるようになるだろう。こうなるとiPadらしさが出るものが作れる。
マニュアルのような無料のドキュメントでも、取り扱い方を動画にした方が分かりやすいものがある。百聞は一見にしかずというか、現にYouTubeには製品の使い方をアップしているものが増えているし、テレビショッピングでも動作を見せてアピールするものがあった。こういうマルチメディアはすでにWebではあたりまえであるので、課題は上手にパッケージングすることであろう。もはやCD-ROMやWebの初期のマルチメディアのように、単に画像が動きます・音が出ます・だから面白がってください、という段階ではなくなり、各素材の面白さの上に編集が巧妙になされていないと冗長で見るに耐えられないものとなる。eBookは本のメタファーというよりも、情報のパーッケージ化の技術として進んでいくのではないか。
日本語の電子書籍の使われ方には、如何に紙の本にそっくりかを競う面もあるが、それは本来紙の本に任せておけばよい分野で、デジタルでどれだけ努力しても進歩というものはない。ニーズという面で考えても、スマホやタブレットと共に育ちつつある若い世代が縦横に情報を操るツールや環境を提供することの方が将来に向けて広がりがある。それが商品となる場合もでてくるはずだが、従来考えられていたマルチメディアパッケージとは異なり、取材や編集をしている人が身近に使っている情報機器や情報環境から素材を取り出して簡単に加工できることが重要である。デジカメやスマホでのショートビデオとか、音声、画像がネット投稿されるような、またUstreamで中継されるような世界からビビッドな情報を取り出して手早く出版することが、これからのマルチメディア的eBookの特徴となるだろう。
これらは今Web上では断片的に提供されているのが、しだいにfacebookに集約されようとしている。しかしどんどん新情報に押し流されていくWebの世界では、過去を振り返って参照するとか、再配布することが非常にやりにくい。facebookもタイムラインとかメディア化の試行錯誤をしてくるであろうが、今の段階ではパッケージメディアに吐き出した方がよっぽど扱いやすい。パッケージメディアのネット流通はiTuneが先鞭をつけたまま、簡単にはビデオオンデマンドには移行しにくい。まだオンラインで重たいものは扱いにくいからである。しかし流通・課金・決済の仕組みはできたので、KindleFireの動画などを狙ったビュアの登場に至ったのだろう。
そのコンテンツは過去の大作ばかりではなく、コミケ世代が作り出す新しいパッケージメディアの出番になるのではないか。