投稿日: Apr 17, 2013 2:16:12 AM
パソコン知識は必要かと思う方へ
今メディアのコモディティ化の時代なので、誰でもHPとか、誰でもBlog、さらには誰でもSNS、誰でも電子書籍、誰でもカメラマンというように、いろいろなITの仕掛けが考えられて大衆をコンテンツ作りに駆り立てているが、それはいくばくか個人のライフスタイルに彩を添えたかもしれないが、コンテンツ市場を変えてしまうようなものではない。それはアナログの時代から、フィルムカメラ、8ミリフィルムとかホームビデオカメラが普及したからといって、どんどんカメラマンとか映画監督が輩出されたり、作品の質が上がったりしなかったのと同じである。
むしろメディアに関するデバイスのコモディティ化は、駅前の写真館を滅ぼしたり、大学の写真科を出ても職業にありつけないなど、かつてのプロの領域を侵食した。つまりプロには厳しくなり、アマチュアの能力が高まりリッチになるというような変化がいろいろなところにみられる。プログラミングも、マイコンの登場時にBasicを覚えればどんなアプリも書けるといわれたことから始まって、事務所ではエクセルのマクロができるようにアマチュアはどんどん能力を拡大し、情報科学を学んでいないWeb制作者がphpやjavaを扱うくらいにはなっている。ではプロとして喰っていく人は何を目指せばよいのだろうか?
パソコンはDIY的な製品であったために、利用者に習得することを強いる面が多くあった。ITのプロは十分パソコンを習得している必要があったし、プロでなくても業務にパソコンを取り入れようという人はやはり相当習得するべきところがあった。これはそれまでのシステムと実は同等である。しかも悪いことにパソコンは単なるオペレータにも習得を強いたので自治体などがパソコン教室をやったりしている。しかしオペレータにDIYを要求することは無理があるので、タブレットがパソコン以上に普及する時代になろうとしていて、そこでは、アプリのインストール、起動やダイアログ・メニュー操作、カット&ペースト、ガーベージコレクションなどはなくなる。
つまりオペレータはコンピュータのブラックボックスは覗かなくても良いタブレットの方にどんどん進むのだろうが、業務にパソコンを取り入れて使う人のITリテラシーも脱DIY化してオペレータと同じようにブラックボックスに無関心になりつつあるように思え、これはマズい兆候である。まずパソコン雑誌と言うものは極端に少なくなり、しかも新しいグッズのお買い物ガイドでしかないし、ネットのQAサイトなども結構ウソがまかり通っていて、それを誰も正していない。
おそらくかつてのパソコンヲタクのような人は減るとともに、従来のDIY的発想ではネットも含めた情報環境をうまく利用することは難しくなってるのだろう。それはITのコモディティ化により、知識があるかないかでプロかアマかをわけることには意味が無くなり、むしろサービスを提供する側と、サービスを受ける側という区分で、必要な機能や役割分担を考え直すべきだからである。タブレット利用とその後ろにあるクラウドというのはそういうものであるように、社内の業務システムでも社内のサービス提供者と受ける人という立場で、習得すべきことは何かを整理するようになるだろう。
これはDIY発想なら壊れたものを調べて修理するというようになるところを、サービスなら最短時間で業務の復帰をすることが重要で、修理は後回しでよい、というようなアプローチの違いになる。つまりITのプロはサービスのプロを目指すという点で情報環境の知識を持たなければならないということだろう。