投稿日: May 25, 2013 2:44:19 AM
広告媒体よりはビジネスの視点が重要
近年真面目に追いかけていないデータに「日本の広告費」がある。過去にも何度か統計方法を変えてきたのではあるが、今世紀に入ってセールスプロモーションを合算するようになって、ワケのわからないデータになったと思う。2012年の統計では4大マス広告が2.8兆円に対して、プロモーションメディア広告費が2.1兆円と大きくなっていて、これにインターネット広告費が0.9兆円近くある。こういったものを足し合わせて広告という分野は伸びているように見せかけている。だから「伸び」をあらわすために目的の異なるものを混在させているともいえる。
要するに4大マス広告はもう半分以下の時代であると電通は自分で言っているようなものである。これら大手広告代理店のメインビジネスのうち、4大マス広告が近年失った1兆円近くがインターネット広告に行ったような統計を作ることで、顧客が4大マス広告を離れた分を再び広告売上として取り戻そうとしているかのように見える。
しかしインターネット広告そのものの定義は、広告代理店が考えているようなスペースとかクリックという媒体付随のものには留まらず、アフィリエイトやリコメンデーション、コンテンツそのものなどどんどん多岐にわたっていて、広告業界では時々横文字の何々広告という語を発明しながら新しいモデルを作ろうとしているが、おそらく4マスのような定型化して収斂するところはない。
電通の統計ではインターネット広告が1兆円にならんとしているが、その内訳は媒体費と制作費が3:1くらいに計算されている。しかし実際にはコストとしてシステム費用やサーバ費用がかかっている。紙や電波媒体の場合は既存の媒体に便乗するのが広告であったのが、インターネットの広告は便乗モデルが通用しにくくなっているといえる。YouTubeやFacebookから広告側にソーシャルグラフのようなものがWebサービスで提供されたとしても、そのデータ処理をする部分は広告側で構築しなければならないのである。
つまり広告側がターゲットに対してうまくマッチングしない内容を提示したならば広告成果は上がらないので広告ビジネスは成り立たなくなる。紙や電波の時代はターゲットにマッチングしなくても商売できていた人たちが、システム代金も自分たちで負担しながら成果の問われるネットの広告をやっていけるのだろうかというのが大きな疑問である。