投稿日: Feb 18, 2013 12:45:9 AM
漆Macに感動を覚える方へ
初代iPodが韓国の元祖mpmanとどのように異なっていたかを覚えているだろうか? あるいはiPhoneが登場したときに人々はどんな点に感動したのか覚えているだろうか? ITの先端的製品と思われているが、人が身につけたいと感じるような高級ブランド感があったことは大きいだろう。これは従来のアメリカ製品にはなかったものである。Steve Jobs復帰後のデザイン、とりわけ晩年になるほど製品の仕上がりにこだわりをもっていた。そのセンスはどこからくるのか。当然ながら世界的なお金持ちだから、世界の良いものをいっぱい見たり買ったりしているはずだ。それは他の競合アメリカ人成金にも共通しているが、その会社からAppleのような製品が生み出されることにはなっていない。やはりSteve Jobs独特の何かがあるはずだ。
Steve Jobsは時折京都を訪れていたというが、どのようなものに興味をひかれていたのか想像するに、伝統工芸品には多く接していたはずだ。手裏剣を空港で没収されたという話もあった。そういったものの仕上げの良し悪しに相当関心があったのではないだろうか。それはApples製品の仕上げのダメ出しにもつながっただろう。Apple製品を漆塗りに加工するような人もいるが、それはそうしたくなるようなデザインだったからだろう。要するにSteve Jobsの日本好きと、日本人のApple好きという面白い関係があったのだが、これは過去の話になりつつある。
Appleはおそらく次なる開発や戦略を進める中で、Steve Jobsが考えていた方向性とかメディア戦略とかサービスプランを実現していくのだろうが、製品化に際してはいくら一流のデザイナーを集めたところでSteve Jobs個人の感性とか価値観が引き継がれることはないだろう。先般のmapアプリの失敗で顧客に謝罪は必要ない立場をとった役員がAppleを去ったが、その人が最もSteve Jobsの側近であったことを考えると、やはりAppleもフツーの会社になっていくのではないかと思う。
スマホもこれほど大衆的かつ身近なものとなると、ITの先端的製品として人々が飛びつくものという考えは捨てなければならない。つまり新製品の比較をして買うというよりも、バックとか文具とかと同じレベルで生活者に愛される製品を作ることが長くビジネスをする肝になるだろう。ではそういった日用品のデザインは誰が得意なのかという点では、ヨーロッパにはヨーロッパの良いものがあり、日本には日本のよいものがあるので、むしろ伝統工芸の味を工業化するような競争が始まるのかもしれない。つまりSteve Jobsはこの点で先回りをしていたように思える。
日本のお母さんのキャラ弁が異常なものとして海外でも報道されるが、こんなことを日本人がするのは包丁さばきの文化があったからだろうと思う。おそらく宮廷料理のような場合には工芸的料理もあるのだろうが、子供の頃の思い出で日本のオセチもきれいで凝ったものに見えた。こういったことをフツーの主婦がやっている国はほかにあるのだろうか。ともかく端正な細工をしたり、それを評価する国民性は、これから伝統工芸の味を工業化して世界に売るというようなところに活かさないともったいないと思う。