投稿日: Dec 04, 2015 1:11:15 AM
スティーブジョブズが亡くなりビルゲイツが引退してからというもの、パソコンの世界の面白味がガクッと減ってしまった。彼らが元気な時代はぶつかりあったり、思いがけない展開があったりして、パソコン界の話題はジャーナリズムにとっても大きなニュースソースとなっていた。要するに2人が提供したネタは非常に多かったし、人々の想像力を膨らませてくれた。そういうリーダーをパソコン界は失ってしまってから、面白味という点では電動工具と大差ない産業になりつつあるのではないか?
今はGoogleやFacebookが活躍しているといっても、かれらは既に世界を股にかけた巨大ビジネスになっていて、リーダーが勝手に新たなネタを投下する様なことはできない。もっと規模の小さい会社で暴れん坊のような人って誰が居るのだろうか?
実はアメリカはやはりベンチャー企業の宝庫であり、社会を変えるような意気込みの人々が多く、記事『シェアリング・エコノミーは誰のため』で採りあげたような企業群も世界的に活動を始めている。つまり技術とか金儲けとは別に、「世界を変えてやるぞ!」という意気込みが日本人には少ないのかもしれない。
この「世界を変えてやるぞ!」は、その人個人の世界観からくるものだが、アメリカはいろんな価値観の人がともに暮らすことから、価値観を相対的に見れるし、個別の価値観には左右されない汎用的な解決というのも考えやすいのかもしれない。
日本人は異なる価値観を俯瞰できないで、価値観の衝突のような議論を延々と行いがちだ。ジョブズとゲイツも価値観の衝突はあったが、共同で取り組んでいたこともいっぱいあった。TrueTypeやUnicodeやパソコンの細かい規約も協同したものがある。つまり小さいテーマは協同して、大きな世界観は独自で通すということだろう。
価値観の違いを俯瞰したうえでの、もっと大きな議論が日本でもできるようになると良いと思う。しかし価値観の相対化というのは皆が同じでなければいけないという風潮の日本では一番難しい点かもしれない。思春期で自分の将来を考えるべき時代に受験勉強だけしているのでは、その人のパーソナリティが育たないからである。本当ならば理系文系の選択などよりも前に、むしろ有名なベンチャー企業の志に触れてもらった方がいいかもしれない。
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