投稿日: Jan 20, 2014 12:34:0 AM
制作は容易になったが……
知り合いが奄美大島でCATVの仕事をしていて、最近作った番組をDVDで送ってくれた。その映像は、小中学校合わせて6人しかいない集落での運動会の様子とか、古老に昔話を聞くとか、その現地を訪れるとか、視聴対象は地場の人と観光客と両方を想定したような作りであった。撮影している人の自分の家族なども映像の中に出てくる。おそらく日本中の各地でこういう映像番組は作られているのであろう。いや世界中に今はあるのだと考えられる。
NHKの放送と比べるとカメラワークとかBGMはアマチュアぽい点があるのだろうけれども、構成や内容についてはマスメディアの放送に見劣りするような気はしない。NHKではプロデューサ・ディレクタ・インタビュア・ナレーター・編集など複数の人間のチームで行われていることが、このようなCATVでは一人で考えて連絡して自分でカメラを回してインタビューをして編集している。照明や音響の人はいないが、それでもできるような方法でやるしかない。
ビデオのデジタル化で画質の心配はほとんどしなくてよくなったようだ。このようにして制作すると、おそらくコストはNHKに比べて2桁くらいは違うのではないかと思わされる。またぶっつけ本番的なものだから、元来ナマ情報でありヤラセくさいものがない。こうした地元のメディア以外にも、当然旅行者もビデオは撮ってくるだろうし、地元の観光ガイドとしてのビデオ化された資料もいっぱいあるだろう。
むかし「地球の歩き方」という、旅行者の参画による旅行ガイドブックがあったが、今日的にいえばUGCに近いコンテンツといえるかもしれない。
今日ではYouTubeにこういう映像はいっぱい上がっている。しかし地図や地理情報に紐づいた索引がYouTubeにはないから、地元のメディアの役割としては、自社のコンテンツを公開することともに、地域情報の索引化というのも課題になるだろう。旅行者には勘違いがあるかもしれないし、また逆に地元では気づかないことを旅行者が撮っている場合もあるだろう。そういうもろもろのローカル情報の査証を地元の人にしてもらう必要がある。
そしてこうしたローカル情報を総合的に索引化することが国レベルの仕事(国家という意味ではなく民間・ボランティアでもよいのだが)になるであろうし、日本の観光客を増やしたければ外人が撮った日本のビデオの索引化とか、外国語での紹介なども国というレベルで進めるべきだろう。cool japan の戦略の中には何かそれに類するものがあるのだろうと推測するが、具体的には知らない。UGCの時代が来ているのだが、それによる大きなビジョンがまだ欠けている気がする。