投稿日: Mar 17, 2014 12:27:13 AM
技術でできることは限りがあるが…
公表する文章の中に他人の文章の無断借用が入ってしまうことは、意図的であれ無意識であれ、昔からあったことで、少なくとも商業出版とか学位をとる論文などでは、事前に慎重な審査がされるべきであった。しかしアナログの時代と同じ審査をしていてはコピペのチェックができない状況になった。
おそらくアナログの時代は、他人の文章を完全にコピーするように引用することは面倒なことで、自分で必要なところを取捨選択して、自分の文章に変更しながら原稿用紙に書くとかワープロ入力とかしていた。他人の文章のデジタルファイルを入手して剽窃することはほとんど不可能であったからである。
ところがWebに上がっている情報は他人のものであっても、まるで自分のパソコンにあるドキュメントと同じ様に完璧なコピペが可能になった。しかしアナログの時代を知っている私などの世代では、句読点や用語使いも含めて他人の文章を丸ごとコピペすることには心理的な抵抗があった。それは無断借用という倫理的な問題とは別に、自分の文章とは馴染みが悪くなると思いキモチワルイからであった。
私の子供の世代ではWebからコピペすることは、通常ノートを取るのと同じ行為のようで、そのようにして溜めたテキストからレポートを作っているらしい。だから最初にWebから取った時点では他人の文章であることは分かっていても、時間が経ってそれらを素材として自分の文章を組み立てる際に、どの部分が自分のオリジナルでどの部分が他人の文章の切り貼りかわからなくなっていると思える。
つまり自分のパソコンに保存する際に自分のものと他人のものの区別は事実上つかなくなっている。もし学校の先生の立場ならどのように指導すればいいのだろうか? 自分の場合はWebから文章を切り取ってパソコンに保存する際には、テキストファイルの先頭にURLを1行入れて、どこから見つけたものであるのかわかるようにしている。つまり見出しの前にURLの入っているテキストは他人のものである。
このようにして自分と他人の文章を区別することが徹底できないのなら、パソコンのコピペの際に自動的に先頭に引用元が書き込まれるようなプログラムの工夫をするといいのかもしれない。図版の部分がテキストファイルではalt属性の代替テキストになるようなものである。
コピペ問題は技術で解決するものではなくリテラシー問題であろう。しかし本人も他人もコピペ解析に多大な労力を使うのは無駄だから、それらの問題が起こったらトレースしやすくすることは技術の問題である。