投稿日: Sep 04, 2012 11:51:51 PM
果たしてうまくいくかどうかと思う方へ
トーハンが書店の店頭にて電子書籍の申し込みが出来るシステムc-shelfを12月に始めるというニュースにいろいろな意見があるようだが、これで電子書籍が本当に売れるのかどうかということとは別に、書店の役割としては重要なものなので、それを活かすようにトーハンや書店が行動できるのかどうかの問題になる。大方の見方はトーハンも書店も大したことはできないだろうということなのだろうが、この仕組みの活用を考えると別に書店でなくても有効に使えるので、いろいろ実験してみる価値はあるかなと思う。
この仕組みはレジでお金を出して商品の現物を手に入れる代わりに「バウチャー」という引換券を受け取るというだけのもので、コンビニでWebMoneyをやっているように、何にでも使える決済サービスである。つまり書店を基準に考えれば、お金の決済をするサービスであって、それは店頭に無いものでも構わないということである。日販のWeb検定の申し込みをレジで行えるのと同じように、書籍・雑誌と連動した形で申し込みや申請の受付と決済というサービス拡張ができる。
さらに言えば本や雑誌を買った人に対して、なんらか関係した割引クーポンなどを発行してキャンペーンが行えるようにできるだろう。これはポイントカードのような個人ごとのデータ蓄積によるサービスではなく、書店店頭での匿名のサービスになるので、プライバシ云々の問題は発生しない。今でも販売時にチラシの同梱のサービスを書店はアルバイトとして行っているように、いろいろな販促サービスになっていくだろうものである。このクーポンは顧客が自宅で処理しようが人の手に渡って利用されよと構わないだろうが、店頭でも受付や決済のサービスも行える。大学生協などでは大学授業やクラブ活動に関係した部費の徴収など手続きや支払いにも使えるかもしれない。こういったことも広告と関係つけられる。
既にこの種のサービスはコンビニでいろいろ行われているように、書店でなくてもトーハンが端末を持ち込んで電子書籍をうることも可能になるだろう。よくいわれるのが図書館で本を見つけたときに、借りるのではなく、いっそ電子書籍で購入してもらって返却を気にしないで読んでもらうというサービスである。図書館はショールームの機能を果たせばよいわけなので、貸し借りが減っても問題は無いはずである。これを図書室のようなところまで広げると非常に対象は多くなるはずだ。
要は今まで言われていたり断片的に行われたことを、どのようにうまく関連づけてビジネスモデルにするかであるが、おそらく出版関係の中だけで工夫してもあまり面白いものは出てこず、前述のように広告や場所というのをからめたプロデュース能力をトーハンが持つのか、あるいは外部のプロデュース能力のあるところと組めるのか、というところが鍵だろう。こういったビジネスのプロデュースを出版界が受け入れれば、書店の活用も読者の利便性も高めることができるはずだ。
電子出版再構築研究会 名称:オープン・パブリッシング・フォーラム Ebook2.0 Forumと共同開催