投稿日: Feb 09, 2016 1:17:43 AM
広告の役割がなくなるとか、広告をしても効果がないとか思うわけではないが、問題解決として第一番に広告があるわけではないと言いたい。モノが売れなかったら、まず広告というアクションに行きがちだが、それ以外にもっと重要なことでやるべきことをやっているかどうかを考えなければならない。
メディアというビジネスをしていると、どうしても広告モデルというのが関係してくる。広告枠を持っているメディア側の発想として、広告で何とか現状突破をすることを優先的に考えてしまう。しかしクライアントにすれば、同じ金を使うならもっと他に効果的なことがあるかもしれない。いや今では金なぞかけなくても効果があるやり方は見つかるかもしれないのだ。
記事『トータルシステムに向かって』では、BPOという日常業務の中から改善点を探ることを書いた。これは外部の代理店にマーケティングを外注するとかコンサル受けるよりも前に、日常業務そのものの中にマーケティングデータがあるのだから、それを社内で汲み上げる仕組みを工夫すると、改善点とか責めどころが見えてくるという意図があって書いた。
通常どこでもビジネスをしているところは売上の明細とかPOSの解析とかトランザクション処理によって次の手を考えるわけだが、これはどちらかというと販促に傾斜していて、マーケティングにまでつながっていないことが多い。それは日常業務の範囲であまり難しい解析とか検討は不向きだからだろう。
例えば「あの商品を買った人は、この商品も買う」というような商品の相関を分析するのは1日とか1か月の売上で見極めるのは難しく、ひょっとすると四季を通じて分析しなければならないかもしれない。ダイビングする人とスキーをする人に相関はあるのか、花見と紅葉をみるのは相関があるのか、などなどさまざまな仮説をたてて検証を積み重ね、それと利用者プロフィールを突き合わせて、市場性とか、販促の効用とかを検討することになろう。
かつては仮説に基づいてモニタ調査などをするのがマーケティングであったが、これからは主としてに社内にある取引伝票や商品データベースや顧客情報などの実データを全部ほり込んで解析する時代になりつつある。それは売り上げも商品管理も顧客管理もすべてコンピュータで処理しているのだから当然であるが、こういう問題解決のアプローチはなかなか進まなかった。古くは経営情報システム(MIS;Management Information Systems)といって、組織の上層部が重要な判断をするために…とか言っていたのだが、日本の会社はデータがあっても判断できる経営層が不在であったりするので、ちっとも普及してこなかった。
むしろ、現場の責任者がどうすれば現状の問題を突破できるかというトランザクション・レベルのサポートをするシステムが欠けているのではないかと思う。ビッグデータ処理といわれるものも、戦略情報システムのようなものではなく、現場に力を与える方向で発展していくのではないか。
Top → Articles デジタルメディアビジネスの記事 過去記事→Archive