投稿日: Oct 03, 2010 11:19:29 PM
クーポンでリピートは難しいと思う方へ
ネット上の話題で共同購入型クーポンがソーシャルとの関連でよく取り上げられるし、そのようなビジネスも多くなっているところで、あまりdisるような意見は嫌がられるかもしれないが、過剰な期待をするとか、またクーポンのビジネスモデルとしては過剰な期待をバラ撒いてしまうと、あとで信用を失うのではないか、という老婆心で気をつけてもらいたいことを考えた。クーポン自身は全然新しいものではなく、記事『ピンときたら、創業を!』にあるようにアメリカの日刊紙では日常的にあった。新聞のレイアウトをするときも、紙面の裏表でクーポンがバッティングしていしまうと、広告主から怒られるので、レイアウトソフトでそのようなことはないようにチェックしていた。いろいろな配慮の上に、生活に根ざしたクーポン利用というのがあったと思う。
日本は印刷媒体のクーポンは法律でかなり縛られていたような記憶があるが、ケータイの時代になって単純な集客インセンティブのクーポンは一気に開花した。しかしCRMというかある意味では既存顧客向けでお店自身が行うドリンクプレゼントとかトッピング一品追加のようなアマチュアなものが大半だろうと思う。それが一体お店の経営のどのような問題を解決するのか、効果測定は? さらに新規獲得とどう関係するのか、など販促全体にクーポンを位置づけるところまでは行っていないのに、新手として共同購入型クーポンとかソーシャルとか言い出しても、やはり何に役立ったか判らないままになってしまうのではないだろうか? 要するに事業体側が新規とリピートのそれぞれにクーポンの使い方をうまく位置づけてもらって、少なくとも年サイクルの販促の中で成果報酬を得られるような提案でないと、クーポンビジネスの信用は得られないのではないか。
さらに、現実には今まで懸賞応募キャンペーンを行っていたようなところがクーポンも手がけるだろうから、そのマイナス面を引きずってしまうきらいがある。つまり世の中には懸賞マニアのような人がいて、その人たちがうまく乗ってくれば、あっという間に大きな反響があって、一見するとキャンペーンは大成功したかのようにみえる。販促業界の雑誌などに事例として載っているものやら、その世界のアワード受賞には、実ビジネスの成果とは乖離したものもある。つまり懸賞マニアは企業のファンでもなんでもなく、特定のブランドに忠誠心があるわけでもなく、キリンでもアサヒでもサントリーでも同じように応募してゲットするテクニックを身に着けている。そんな感じで共同購入型クーポンもテキトーにされたら、単にクーポンマニアを生み出すだけで、懸賞と同じく日常のリピートに結びつかないだろう。
どうしても販促を強化したい事業体側は競合者がクーポンを続けている以上やめられないというクーポン中毒に陥りがちで、どの業者も割引がデフォルトになるともう競争力を発揮させるものではなくなり、ビジネスを不透明にする要因をひとつ増やしているだけになる。要するにクーポンマニア、クーポン中毒という状況は、企業の販促費を横取りするだけの業者とともにあるので、事業者の販促担当者がカモられないように対抗提案ができるようなクーポンができるならば信用を獲得する道になるだろう。これはビジネスモデルというよりは、ビジネスのスタンスの問題である。