投稿日: Mar 17, 2015 2:7:17 AM
学校には国公立と私学がある。国公立は社会的な要請に応えるものであることを想定しているので税金も使われる。私学と言えども学校法人の資格を得るには社会性というのが必要になる。日本の大学の私学は明治の初めにキリスト教の宣教や伝道のために建てられて今に至るところがいくつもある。私もそういうところに通っていたのだが、大学の授業そのものに宗教性があったわけではなかった。その運営者のトップの方には何らかの建学精神を受け継いだ経営理念のようなものがあったと思える。
しかしひるがえって国公立にはどのような建学の精神が残っているのかとも思ってしまう。一般の私学よりは国公立の方が真面目に授業や研究をしているのだろうが、イマイチ成果が見えにくくなっているように思える。アメリカのようにあまりプロモーションが前面になって寄付集めを大々的にするのもどうかと思うが、やはり大学の存在意義が良くわかるようにしないと、進学しようとする受験生の「志望動機」に訴えるものとはなりにくいだろう。
つまり大学自体が志す方向と、入学希望者が志す方向が同期するような関係ができなければ、いつまでも偏差値の序列だけで進学するという風潮から抜け出せないのではないかと思う。日本ではまるでビッグデータの時代を先取りするかの如く進学産業におけるデータ処理が発達してきて、模擬試験の成績で進路は8割がた見通せるようになっている。
ということはもう入学試験などしなくても、直近1年ほどの模擬試験の結果を見れば入学者の足キリくらいはできる状況になっているのだ。
そうすると残るはその学科に必要な専門知識のチェックとか面接だけをすれば、大学に相応しい学生を獲得することはできるはずだ。要するに大学がフォーカスする方向に、より相応しい学生を集めることが、大学自身の研究成果や人材輩出の成果を高める方法であるはずだ。さらにスポーツ分野では中高生の間から目をつけて大学に勧誘するようなことを、学問分野でもやってみたらどうか?
今の大学はオープン云々とかいって高齢者向けに教養講座をいっぱい羅列する傾向にあるが、本来やるべきなのはこれから入学しようとする人に向けて刺激を与えて、志をもってもらうことなのではないか。そのためには中高生を対象に、専門性に紐づけた学習講座を大学自体がやってもいいのではないかと思う。なんなら進学産業とタイアップして、受験勉強にもなるし志望先を絞り込むにも役立つような、大学からするとその大学の専門性と指向が一致する生徒集めになる講座をしたらどうかと思う。
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