投稿日: Aug 06, 2010 11:46:40 PM
iPadだけではできないこともいろいろあると思う方へ
iPadが登場した時点で、もうPCは使わないと宣言した人もいた。確かにPCの利用目的から考えたらブラウザとメールが殆どの人もいるだろうから、機械 が苦手とかも含めていやいやPCを使わざるを得なかったのがPadやで簡単になる。これはケータイのようなデバイスもPCのような機械が苦手で使っていた人がいるので、同じくPadで使いやすくなることになる。だからケータイからSP(スマートフォン)への移行も同じで、iPhoneが売れるのに負けず劣らずAndroid端末が広がっていることからもわかる。DellのようにPCメーカーがPad・タブレットとSPの中間のような製品を出すようになって きた。
こういった利用者数のボリュームゾーンからの玉突き現象は、PCの登場時点からみられるもので、デスクトップからノートへの遷移も同様である。しかし以前のPCがなくなるわけではなく、機能は高まって、よりプロフェッショナルな仕事、つまり以前ならSGIでレンダリングしていた分野とか、3Dを含めて映像系の仕事の中心にPCは納まっている。つまりミニコンとかWS(ワークステーション)がPCとかPCサーバーに吸収されてしまったのである。
hostコンピュータは欧米では前世紀に滅んだかと思われたものだが、日本は全世紀末に分散処理に切り替わっておらず、2000年を超えてもhostの更新をした大企業がある。当時はダウンサイジングの中でWSの方がどんどん安くなっていったが、hostの費用も見合うぐらい下げることで、hostのまま使い続ける方が移行の費用や手間がかからないという理由で、更新がされた。そのつけは10年後の今大きい。SaaSが広がってhostと他の世界を結びつけるシステムは必須であるし、それがあるとクラウド・データセンタ利用にも行き易いだろうが、hostにこだわった月日は大きなハンディになってしまった。
iPadの話に戻って、DC(データセンタ)がどんどん建設され、クラウド化が進んでPCが仮想化され、アプリケーションを自分のPCにインストールしないで仕事ができることが広まると、ほとんどブラウザに等しいようなiPadのようなデバイスは万人のものとなるだろう。しかしiPadを追ってPC各社がスレートとかタブレットPCの試作をしたものの、まだ市場に出すには時期尚早感があるようにみえる。iPad向けにbluetoothキーボードが売られるとか、iPadからビデオプロジェクターにつなぐ線とか、iPadを使うに当たってレガシーなインタフェースを必要とするようでは、業務のソリューションを全面iPad化することはできない。しばらくは不便を我慢しながらiPadを使わなければならない人もいるだろう。
表面的にはiPadのデザインが世界を変えつつあるように見えるかもしれないが、その前にはATOMを使ったウルトラモバイルの普及とかiPhoneのARMなどの低電力CPUの発達があり、それは今DCでも同じで512ATOMのミニデータセンタみたいなものがラックに納まるほどになっている。つまりクライアントが軽くてすむ一方でDCにCPUやメモリが集積されていくのである。総熱量不変の法則になぞらえると、総処理能力不変の法則のようなものかもしれない。経済的にはクライアント向けが儲からなくなる一方でDC建設でサーバ屋は儲かることになる。こういった変遷を見越して利用のロードマップを考えなければならない。
要はコンピュータの利用は下から上まで関連して連携して行われる世の中になっていることと、その中で突出して開発が進む分野があって、そこから玉突き現象で下から上までマイグレーションがいろいろ起こるのである。