投稿日: Dec 12, 2012 1:28:24 AM
コンテンツビジネスの可能性を考える方へ
選挙のシーズンなのでいつものことではあるがマスコミ上では各政党や候補のわかりやすい言葉だけがこだましている。メディアがそれほど真摯な議論に役立たないことは記事『寝た子を起こさぬ選挙戦』に書いたが、日本ではソーシャルメディアで立候補者と支持者の間で濃いコミュニケーションに使うような、マスコミ以上の情報源として影響力をもつものにはなっていない。しかしわかりやすい言葉に隠れた政党の真意が後々思いもかけない結果をもたらすことはある。この「わかりやすさ」と「起こること(作用)」の乖離は何でも変化するところでは付きまとう問題で、根本的な変化は足元をすくわれる様な方法で起こるものだ。
つまり「わかりやすさ」の裏にある「わかり難さ」というのは過去から現在の延長上にない事柄のことであり、今までのやり方を支えてきた構造が組み換えられるとかシフトしていくもので、自分の仕事にこだわっていてはそれは見えず、相当俯瞰した見方をしなければならなくなるものである。つまり誰でも自分の仕事の増減は如実にわかるが、それが何に喰われているのかを客観的に捉えることの難しさである。
記事『変わる出版マーケティング』では2011年度の書店売上げランキングtop10の半数は減っていて半数は増えているのが実態で、大雑把にいえば「書籍=衰退」と考えるか 「書籍+」で伸ばすと考えるかの違いがあるといえる。これはマーケティング主導のビジネスをしているかどうかの差で、紙の出版物を店売りすることに限っても、過去を振り返ると、駅前書店の時代→大型書店の時代→郊外型+コンビニ+生協など多様化の時代と変遷があって、そこにオンライン書店が現れ、eBookが現れたのであって、コンテンツビジネスの源流から見ると次第に多くの生活者との接点が増えていって悪いことではなかった。
しかし書店単体で見ると競合が増えていって経営が苦しくなると感じているだろう。ただこういうマクロな変化の中で書店の強みを活かす戦略をとれたところは、今でも伸びているのである。「書籍=衰退」というわかりやすい図式に留まらず、マクロデータをベースにして自分の置かれたパラダイムを見直して、自分を変えていくことでパラダイムシフトに対応していける。この自分の置かれたパラダイムは他人には見えないものなので、わかりやすく可視化された情報として人から説明を受けることはできない。
決して良い例とはいえないが、AKBや嵐がCDを売ったりイベントも含めて巨大ビジネスを成し遂げたのはマーケティング故であり、コンテンツビジネスには旬という賞味期限があるわけだから、永遠にマーケティングの戦いになるのだと思わなければならないし、それだからマーケティングやECのパラダイムに左右はされるが、総体では衰退しない分野でもある。
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