投稿日: Aug 14, 2014 1:36:59 AM
何か製品を買って、お客様登録ハガキとかに住所名前を書いて、その後よいことが起こった経験のある人はどれくらいいるのだろうか? これがアメリカだと、いわゆるダイレクトマーケティングとして、いろいろ面白い体験の例があったりする。日本の企業は生産した製品を介して生活者と日常的につながっているという意識は薄いのかもしれない。製品やサービスを中止する際に、事前に利用者に連絡をしていなかったり、その後の保守がどうなるかが決まっていなかったりする場合もある。もし日常的に利用者のサポートをしていたならば、もっと早くどうするべきか判っただろうし、そもそも利用者の意見を吸い上げて次の製品作りができたであろう。
アメリカにもヒットエンドランのビジネスはあるが、一方では永く信頼を保っている会社も多い。当然日本にも長く信頼されている企業はあるが、売り上げランキングの上位からみていくと、やはりB2Cでは一方的に次々に新製品を投入して、絨毯爆撃的広報宣伝で短期間に大きな売り上げを伸ばそうという会社が多く、釣った魚には餌をやろうとはしない。
それと対照的なのが古くからある通販系の会社の頒布形式のビジネスは顧客を養殖していくような感じで、まさにダイレクトマーケティングの王道だった。しかし通販も規模の競争が激しくなりすぎ、扱う商品も増えすぎて昔のようなコミュニティ感は漂わなくなっているように思える。通販もブランド化してマスマーケティングに傾斜したところがある。
もっとターゲットを絞ったビジネスの方がダイレクトマーケティングは行いやすいだろうが、今のネットの使われ方をみていると、日本の売る側の指向はダイレクトマーケティングではないようだ。通販というとAmazonがどうのこうのという議論になるが、それは何万~何十万も売るマスプロダクツの場合に抵触してくる話で、専門書とかエロ本とかターゲットが明確なものはAmazon云々よりも先にやることがあるはずだし、実際にラノベやケータイ小説などでは売買のコミュニティができるようになっているのではないかと思う。
コミケは商業主義と相いれない要素はあるが、既存の出版ビジネスと違う経済化が今後育つ可能性はある。こういう世界は別途広告宣伝は行わずとも、商品を介した利用者とのコミュニケーションが広告を兼ねてくれるものだ。
記事『ネイティブ広告の終焉』では、本音と建前が分離しているビジネスではネイティブ広告がやり難いことを書いた。ネイティブ広告を取り上げているは広告業者であって、クライアントでないことを見ておかなければならない。クライアントは広告という名称が使われようが、タイアップ企画であろうが、パブリシティであろうが、フツーの取材であろうが、広告ビジネスの分類などはどうでもよく、認知が広まればよいだけの話である。だから広告営業が広告メニューにネイティブ広告を加えようが気にしてはいないはずである。
必要なことはクライアントが利用者に対して釣った魚には餌をやらないような態度ではなく、購買からコミュニケーションが始まると考えるようになることだろう。しかし企業が利用者とコミュニケーションを持つ仕組みを作ったならば、従来外注している広告の価値は減っていくことにもなるだろう。
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