投稿日: Mar 03, 2015 1:20:25 AM
結論からすると、簡易BookOnDemandは後まわしにされるように思える。
記事『コピーの無くなる日』では、コンシューマプリントとプロダクションプリントの間に、中規模オフィスむけのインクジェットが出てくるのは時間の問題だろうということを書いたが、コピーやプリンタをインクジェット化して1枚単価を下げることで、大量のページ数を分散的に出力できるようにするには、製本や折・封入など後処理の問題をどうするのかというところを解決しなければならない。
本のようなものを考えると、やはりB6やA5サイズが多いので、今のコピー用紙では何面付けかになってしまって、従来のアナログの製本工程が残り、それをオフィスの利用者にやれというのは無理がある。Wordなどの機能には 4-1 2-3 のような面付け機能はすでにあるのだが、それを使いこなしているユーザはどれほどいるのだろうか?
封書や圧着ハガキなども後工程が必要になる。しかしこういった専用機のようなものをオフィスにいろいろ取りそろえることにはならないだろう。オフィスや学校でもプリントセンターのような専門部署があるならば、すでに簡易製本をしていたり、紙折り機がある場合もあるので、中規模インクジェットの導入はいいかもしれない。
しかしそれでも後加工は独立しているわけではなく、例えば紙折や丁合はページ面付けとの関係で決まるので、面付けをどこでどうやるのかが悩ましい。プリントセンターがそこまで行うとすると、そこの教育とか、プリント依頼の方法をルール化するとか、いろいろ面倒なことが増えてきそうで、おそらくあまり誰も積極的にやりたがらないだろう。
だからオフィスで大量ページ処理がされにくいと決めるのも早計で、おそらくは従来の製本様式や紙加工の様式を踏襲するのではなく、別の新しい様式が必要になるのだろうと思う。
デジタルプリンターは丁合をしなくてもよいので、製本に関してはビジネスフォームのジグザグ折で任意のページ数の丁合済の紙の束が出てくるものがあったが、それはあと背糊・表紙巻と3方断裁すれば簡易製本になる。こういう方法を使うには今のコピー機のようなカット紙ではだめでロールの給紙ができる機構が必要とか、小幅のロール紙の流通が必要になって、そこで敷居が高くなってしまう。また大量プリントするようになると、この小幅のロール紙の保管というのは結構厄介で、ちょっとした倉庫が必要になる点もオフィスには向かない。
従来の印刷製本のニーズとは異なって、1冊だけ本を作るPODならば、カット紙の折の問題を避けて、仕上がりサイズに近い小さなカット紙にインクジェットで高速プリントして紙の束をこしらえるのは可能だ。そういうニーズは復刻版とか超ロングテールな分野であろうが、まだニーズは顕在化していないので、これから発掘しなければなら。
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