投稿日: Nov 17, 2014 2:5:46 AM
田中善一郎氏のmedia pub に、Borrell発行の「2014 to 2015 Automotive Advertising Outlook」から、米国の自動車ディーラー広告費の過半数がデジタル・ネットにまわるという記事があった。 2000年ころには新聞が50%を超えていて、ラジオとTVを加えたマスメディアで80%を占め、オンラインデジタル広告のシェアは5%しかなかったのが、2013年にはついにデジタルが50%になり、2014年は57%、2015年は67%と予測されていて、ついに来るべきものが来たという印象である。この分野の広告費全体は増えているのに新聞広告は減り続けている。2015年はTVのシェアが10%を割って、新聞と並ぶという予測である。
この種の統計とか予測にはグレイなところもあって、数字だけが独り歩きさせないように記事を書かなければならないのだが、もっともグレイな点はデジタル広告の定義そのものである。Webやモバイルだけでもいろんなものがある。だからデジタルシフトとはいっても実態はなかなか把握しにくい。しかもデジタル広告のビジネスモデルとか運用方法は刻々と変化していて、例えばTVのCMなら放映時間とか新聞なら部数・面積とか、広告量をカウントできるものはあまりない。
また前述のレポートでは「その他」広告が減り続けてデジタル広告が増えているので、ここにも何かカラクリがあるように思える。
つまりデジタルやオンラインの広告というのは、マス広告とは比較にならない様相をしていて、マスで考える広告と同じ土俵で議論すべきではないのだろう。知り合いがネットで中古車を買ったことがあって、その時の様子を聞くと、諸条件を絞り込んでいって、売主が近くに住んでいて、本人がその車に乗ってやってきて説明するというモノを見つけて、実際に会って話を決めているし、説明も受けている。当然ながら業者の中間マージンは全然ない。ネット上のサービスがいくらか掲載料をとっただけではないだろうか。
こういったやりとりは、「子犬が産まれたので譲ります」というのと大差がない。ネットの掲示板から始まって、オークションとかSNSなども、ダイレクトに人と人をつなぐメディアになっていて、そこに商流というのも生まれつつある。産直というのも似たものである。これらは代理店や仲介業者をバイパスする流れであって、実体経済も全国一律にマスプロダクツを上から下への一方通行で流していくのとは別のことが始まっているともいえる。広告モデルが変わるというよりも、SNSも含めて人のつながりで情報が拡散されていくことを、広告が後追いしてデジタルの沼にはまっていったと言った方がよいのではないか。
Top → Articles デジタルメディアビジネスの記事 過去記事→Archive