投稿日: May 16, 2013 1:5:40 AM
なぜ日本は世界に向けたメディアを持たないのか?
政治家の失言というか本音が公にされてしまって、物議をかもすことが多いが、そんな言葉尻を押さえただけの局部的な議論に終始するのは、あまり発展的ではない。その人が何をもくろんでいるのかというテーマに遡って、個人名は消して議論ができるようにならないと、ゴシップと同等のレベルの話題として忘れ去られるし、その場限りのもみ消しも容易である。安部首相ですら「村山談話は継承」とか発言するのを、真に受けて安心してしまう人はオメデタイとしか言いようがない。
最近になって日本の政治家の資質として問われるのは、海外メディアを意識することである。日本がもし国連の常任理事国になりたいならば、日本の代表になるような人は国連の良識からしても尊敬に値するような人でなければならないはずだ。石原慎太郎のエキセントリック発言は日本国内よりも欧米で有名になるほどで、なぜこのような人が政治家をしているのかと疑問がもたれていて、それは彼に投票した日本の選挙民に対する不信にもつながる。安部首相が「村山談話は継承」と言ってみせたところで、日本国民の右傾化とか差別主義が海外メディアのネタになるような状況である。
これは海外のニュースが真実であると言っているのではなく、日本は国内メディアのコントロールさえしていれば安泰な時代ではなくなったということを考えなければならない。つまり経済的に世界に出てビジネスをすることが日本の生命線ならば、また cool japan を輸出したいならば、世界へ向けた情報発信を日本のメディアも、政治家も、企業もしなければならないということである。実は海外ではそのような活動は昔から行われている、イギリスのBBCも、アメリカのCNNも、中東のアルジャジーラも、内国向け以外に国際版のニュース配信を行っている。
日本は世界に向けた情報発信が圧倒的に不足しているし、それは単に日本の宣伝をするのが目的ではないはずで、日本と世界の関係を良くしていくという視点で、特にアジア諸国の問題やそれに対する先輩としてのアドバイスや支援など、アジア当事国も欧米も見落としていてるようなといころにスポットをあてた報道をすべきである。日本が経験したこととして、欧米のシステムをそのまま輸入してもうまく運用できなかったことがあったように、アジアの各国も似たような問題にぶつかっている。環境問題に顕著なように発展に伴うアンバランスが社会のあちらこちらに生じるからである。いろいろな意味で日本が発言すべき時代になっているので、冒頭の政治家の失言ばかりが日本のニュースにならないようにしなければならないのではないか?
世界各国との良好な関係が21世紀の日本の発展を支えることは間違いないことで、それは今まで日本からアジアへの技術移転がビジネス環境を変えてきたように、日本発のジャーナリズムは日本のビジネスをまた一皮向けたものに変えていくだろう。