投稿日: Apr 20, 2013 1:48:30 AM
ITフロンティアに常識は通用しないと思う方へ
インターネットの初期からアメリカは世界の情報を集中管理しようという考えでいろいろなことをやってきて、その局面々々の現象を日本は真似をしてきたのだが、日本が真似をしているうちにアメリカは次の段階に突入してしまうということを繰り返してきた。パソコン通信時代からある掲示板がBLOG、CMS、SNSとなったのは、日本から見ると別の新発明のシステムが次々現われてきたかのように思うかもしれないが、これはコミュニケーション・メディアのコモディティ化という点では一貫した動きなのである。いろんな面でアメリカでは継続的な発展であるものが、日本では断片的にしか捉えられずに、その後追いをしている状態では、なかなか対抗はできないだろう。
ハードウェア的にもサーバの進化は激しくて、ラックに積層するスタイルになり、またブレードサーバーになり、さらに袖机くらいに何百CPUを詰め込むものにまでなっている。例えば日本のメーカーはラックの奥行きを半分にするような工夫をしたことがあるが、そんな方法で到達できない高集積化の高い目標がアメリカにはあったと思う。
今オンラインのストレージが何GBまでタダというサービスを使っている人は多いと思うが、データセンタの発達したアメリカでどのような合理的なホスティングをしているのかを知らずに、今から日本が対抗するのは相当難しくなったと思う。
そもそも日本でも古くなったノートPCにUSBの外付けHDDをつけてSambaのファイルサーバにしている人は多く居ると思う。だいたいそれでもローカルなオンラインストレージにはなる。そうすると40Wとか60Wのサーバになる。つまりストレージのサービスをすると考えると、今のデスクトップPCと根本的には同じである1Uのサーバをラックに集積したものは必要なく、不要部分を削ぎ落としたサーバにすればどんどんHDDの原価に近づいていくことになる。
またクラウドサービスも数多くのサーバーを仮想化してデータセンタをまるで一つのコンピュータのようにみなす管理システムを持てば、サーバー単価はうんと下がる。現状のWebサーバーでも無料のものがいろいろあるが、それらの稼働率の平均を考えると大した事は無い。ちょっと前にグリッドコンピューティングといって、いろんなCPUの空き時間を使わせてもらう仮想コンピュータというのがあったが、データセンタの中でそういう仕組みを置けば、有料サービスの余力の範囲で無料サービスは可能になるだろう。
アメリカのデータセンターは、デスクトップPC的サーバは卒業して、そのデータセンタの扱う情報の特質に応じて特注のサーバにするとか、自作するようになってきている。動画のような重いものを扱う場合と、オークションのように一時にアクセスが集中する場合、またショートメッセージが大量にある場合などでは求められる点が異なるからで、従来の万能サーバのムダを廃した特化になり、CPUはふんだんに使うようになってきた。
スマホのようなコンピュータが爆発的に増えたことでサーバのCPUもすさまじく増えていき、サーバCPUの数とクライアントCPUの比はかつては1:万であったのだろうが、次第に近づいてきて、今は1:100くらいではなかろうかと思う。しかもルーターもSoCを使ったスマホ同等の能力のサーバーであることを考えると、日本人のイメージする1Uがラックに重なったサーバを前提にITサービスを考えると言うのはものすごく無駄をかかえることになるのだ。