投稿日: Sep 09, 2011 11:12:27 PM
大きな目標を持ちたい方へ
昨晩はTed NelsonのXanaduなどを思い出していたこともあって、Visonaryとビジネス社会のギャップが大きいことを思う。このXanaduは30年前に全世界がハイパーテキストでつながることを予言したようなものなので、当時は一般には理解不能の内容であっただろう。まだインターネットもない時代だったので実現には手が届かない話ばっかりだった。そのためにマスコミなどには取り上げられることはなく、書籍はTed Nelson手作りの自費出版のようなものだったように思う。Ted Nelsonのことを話題にしていたのは研究職が中心であった。必ずしもTed Nelsonを教科書としてインターネットやユビキタスとかモバイルが取り組まれたわけではないが、そういったことに関係していた人の頭をXanaduというビッグピクチャは時々かすめたはずである。
Xanaduのプロジェクトは起こったが、実際の製品とかサービスにはならなかったように思う。むしろ一般にはSteve Jobsのような消費者向けの開発をしているところが時代を引っ張っていったように思われているが、それらを裏で支えるインフラや基礎技術も同時に発達してるわけで、それらを開発している人はSteve Jobsからインスピレーションを受けているのではなく、未来を描くVisonaryの人々の話をいろいろなイベントの機会に聞いている。そういった専門のイベントは規模が小さい。かつてSan Fransiscoでシーボルトコンファレンスがあった頃に、Steve Jobsの基調講演には5000人もの人が集まっていたのに対して、別のコンファレンスでTed Nelsonの基調講演を聞いたのだが200-300人規模であった。しかし真剣な聴衆だった。
200-300人のイベントでも十分大きいと思うが、それ以上にはならないのは、前述のように過去に例のないような話には想像力が追いつかない人が大多数だからだ。つまりTed Nelsonの話を誰かにしようと思っても、伝わるように話しようがないのである。それで日本で報告記事を書く際にもXanaduのことはちょっとだけ触れただけになった。その後もメディアやコミュニケーション論というのはなかなか記事になり難いものだ感じていたが、インターネットの初期にはそういったものが一挙に噴き出したような状態になった。しかしマスコミなどにもコミュニケーションの未来のような話が載っても新味はなかった。Xanaduのようなビッグピクチャは滅多に描かれるものではないということだろう。
ビジネスでは毎年の成果を出していかなければならないが、毎年同じことを繰り返すだけでいいのかと悩む時が来る。何か積み重ねていかねばならないが、何を目標にすればいいのかという問いにぶつかるはずだ。今は中国企業が元気のように見えるが、彼らはまだこの壁には至っていないからであるし、韓国がコンテンツビジネスに力を入れたのも、製造業成長の限界を感じたからであろう。日本は一足先に壁にぶつかって乗り越えられないでもがいているわけだが、そこを抜け出るには未来のビッグピクチャを手に入れなければならないだろう。