投稿日: Jul 23, 2010 3:8:2 PM
従来の出版ビジネスの型は通用しなくなると思う方へ
今KindleやiPadが話題だが、これらの価格はPCに比べてもずっと安く、それ自体ではあまりメーカーの利益にならないものである。それでもどんどん作られているのは、これらが情報端末となって次のメディアビジネスが始まる計画があるからだ。Kindleの場合は目的がはっきりしているが、iPadの方はまだ見えていないいろいろな可能性がある。おそらくは今後のブラウザの機能拡大に沿っていろんな展開になるのだろう。HTML5の普及の影響はiPadに限らないものだが、きっとAppleは独自なメディアビジネスを考えているはずだ。それはまだ議論するには尚早だが、今後起こりそうなことの概略なら今でも考えられる。
記事「メディアのシフトを概観する」では、今後のメディアの分類として、有料のプレミアム、商業的無料のもの、アーカイブ、ソーシャルの4分類にしたが、従来の紙の出版物が電子化される場合には、これらに分解されていく。有料がなくなるわけではないが、結果的には範囲は狭まっていくと考えられる。有料コンテンツの最大の分野はエンタテイメントであろうが、エンタテメントは有料以外にソーシャルの伸びが考えられる。今でも写真や動画の共有が盛んだが、こういったものはどんどんリッチになって、有料コンテンツとバッティングするようになるだろう。コミケのようなもののレベルが上がると考えてもよい。
商業的無料のものは、ECに取り込まれていく。テレビにインフォマーシャルとTVショッピングがあるように、ECの方がエンタメ化する。要するに金の流れのあるところにコンテンツもいくことになる。すでにアクティブユーザが9000万人以上いるeBayは、コンテンツとしても面白いことを「メディアの概念が覆される」で書いたことがある。かつて情報誌が行っていたことが中抜きされるだけではなく、モノを媒介とした双方向コミュニケーションができるようになる点が新しい。
学習・知的活動は、出版では静的な情報提供でしかなかったのが、単にeLearningという姿になるというよりは、チューターやキューレータ、ファシリテータのような人的な役割をどうネット上で拡大するかに焦点が移る。ネット上にカリスマ先生を作ることが先決だ。twitterを含めてSNSの求心力のようなものを活かした動的なシステムが先にありきで、そこに必要な情報がぶら下がるような姿になるだろう。
それとデジタルのメディアビジネスは方法論的にはグローバルな平準化になる。今YouTubeの面白さは世界のTVのクリップが見れることで、これは斬新な経験になるとともに、過去の放送の一国主義的な発想は通用しなくなる。つまり、記事「情報メディアと文化問題」で述べたように、コンテンツの輸出入やグローバルな情報メディアビジネスは文化交流という形でないと進まず、文化の衝突や軋轢は避けなければならない。対外的文化政策の視点でメディアビジネスが取り組まれるようになるだろう。
ここでは非常に粗っぽく書いているわけだけれども、詳しいことはおいおい追加していきたい。