投稿日: Nov 19, 2015 1:4:58 AM
何でもアメリカの新しいシステムを真似するのが好きな日本ではあるが、白タクみたいな Uber、Lyft、Sidecar、は頓挫してしまった。また自分のマンションの部屋などに他人を宿泊させる Airbnb は締め出そうとするマンション側の動きもある。これらはシェアリング・エコノミーといわれるもので、ネットオークションの延長のような個人間取引のプラットフォームによって実現可能になった。だからスマホ時代にはピッタリのものなのであるが、それによる変化を受け入れたくない日本人の姿がある。
アメリカではシェアリング・エコノミーは「新しい文化だ」として、オークションが譲渡するものであるのに対して、自分の所有物を貸与するということが、運転や部屋貸しから、個人間で車や家を貸すとか、ボートも、工具も、また食事の提供にもと広がっている。Airbnbの場合にトラブルが来て損害賠償になるケースは1万分の1程度だそうで、この発生頻度ではアメリカでは問題ないかもしれないが、日本で万に一つのトラブルがあった場合に、そのニュースがどのように伝わって、それに人々がどのように反応するかを想像すると、やめとこうと考える人が多いかもしれない。
ネット上の仕組みとしては、提供者についても利用者についても過去の評価を事前に見れるようにしておけば、あとは自己責任とできるのだろう。モノの受け渡しだけで完結する個人間取引などはほとんどその方法でかたずいている。しかしサービス分野のような形にならない満足度を求められる場合には、アメリカのような割り切りのできる「古い文化」があるのか無いのかで大きく評価が異なるのだろうと思う。
その古い文化とは、学生などがよくやるルームシェアとか、旅行の際のヒッチハイクとか、大学生協での古本教科書リサイクルとか、アメリカではいろんな面で下地が出来上がっているものがあるわけで、安いが最低限のサービスというのが成り立っている。日本の簡易宿泊所も外国人は多く来るが日本の旅行客はあまり利用しないようなものである。
でもシェアリング・エコノミーは安さが第一ではないかもしれない。日本の民宿のような人の触れ合いを感じられる食事の提供のようなものも出ているからだ。高齢者の独り暮らしの方を対象にした食事会や、練馬でも「ねりまこども食堂」がありテレビでも採りあげられたことがある。まだ経営的には多くの困難を抱えているようだが、こういったボランティア活動を円滑に運営できるようにするためのシェアリング・エコノミーのプラットフォームがあってもいいように思う。
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