投稿日: Aug 20, 2013 12:18:48 AM
企業理念の再構築が必要
昔から慣例としてフツーに行われていたことが、ソーシャルメディアなどで表沙汰になると問題視されたり炎上することはよくある。従業員の悪ふざけもそうであるが、管理者や社長にだってオモテに晒されると問題になることは多いだろう。これはコンプライアンス関連の会議をしていると、アレッ?これマズいかもね、と気になることがよくあるからだ。しかしだからといって予防的に問題になりそうなことはすべて規則を作ってしまうのも無意味で、実際にはチェックできない項目を増やすだけで、コンプラアンスであまりマニュアル化をし過ぎると、管理コストも増えて運用上は事業が進みにくくなる。実際は炎上対策でコンプライアンス強化するよりも、もっと根本的なことがあるので、それがヌケていては再起はできない。
やはり国で言えば憲法のような、企業理念のようなものを掲げて、何か問題になりそうな時は、理念に照らし合わせて是非を判断するようなことになるだろうが、この企業理念をどう作るかとか、それをどう組織内で理解させるかという方が大変な仕事になるので、コンプライアンスのマニュアルを作文して済ませるほうが楽だ、ということになる。現実には作文のテンプレートを作ってコンサルしてまわっている会社がいっぱいあるので、そこに金を払って安易にコンプライアンスの体裁を整えることが多い。これはコンサルを肥やしているだけである。
コンプライアンスのガイドは必要だが、大事なことはゴマカシのない事業をすることだろう。事業自身にゴマカシがあると、目的と手段のネジレがいっぱい出てくるので、ムリムリな運用になって、理念云々とはかけ離れたことになる。ゴマカシのある事業は売上が上がるとか「結果よければすべて良し」で、利益性や成長性を犠牲にしている場合が多い。働く人のスキルアップやキャリアアップにもならない仕事で見かけの売上だけこだわっていると、モチベーションがあがらないし、企業理念など見向きもされなくなる。そんな時にコンプライアンスのほつれが見えて、それが炎上的に他のビジネスの根幹に関わるところに影響する場合もみられる。
補助金事業などで架空の作業日報を作ってコストを大きめに申請することなども、先方の役所も了解済みで行われていることが多い。これは事業に対して十分な補助金がつけられず、事業者負担分が大きくなると、事業の引き受け先がなくなってしまうとか、ふさわしい事業体がやってくれないということからくる。
この問題に関しては、補助金で半額負担ではなく全額負担にすれば済むことで、制度を改革することが先決のはずだが、日本ではなぜか制度に手をつけず、運用上で誤魔化してしまおうということが多かった。結局こういう補助金事業も官庁の意向に沿って結論をださなけれならないという点では、ネジレた事業になりがちで、実施してもどれだけ身につくかはわからず、売上を水増ししているにすぎない場合がある。
バブル崩壊後のリストラで、散漫になった雑多な事業を再統一させることが課題だったが、経営環境が変化してしまって企業理念が追いつかないで、経営がまとまらなくなったところは多い。特に印刷出版など内需に同期してシュリンクしていく分野は企業理念の再構築が難しくなっている。中国の反日で平和堂は何億円かの被害を蒙ったが、今は売上も回復し新規出店もしている。理念のしっかりした会社は多くの困難を乗り越えられるものだと思った。