投稿日: Jun 15, 2015 1:47:33 AM
ガートナーが毎年発表しているhypecurveでは、BigDataは2014年にはだいぶ期待値のピークを越えて、急な坂道を転がり落ち始めている。このhypecurveにおいては期待値が下がりきってからが本番なので、数年先にはBigDataの社会的な効用がいろいろと出てくるかもしれない。それはきっと今まで期待値が大きかった時代に語られた内容とはかなり違ったものになるのであろう。
例えば商品の購買データを分析して販促に役立てようというのはナンセンスであると思う。かつてからデータマイニング云々とか言われていたが、この販促というのは分析に必要なパラメータが決まっているものではなく、気象のように、また囲碁将棋のように、複雑系になっているからだ。
もしも分析方法が確立していれば競合企業も同じようなことをしてしまうので、それでは競争力にならず、経営とか製品開発から営業もクリエイティブに勝負をしなければならない。そうすると過去のデータから導き出せないようなことが起こるのである。
つまりマーケティングのためのテンプレートとかプラットフォームというのは初心者用しか用意できないので、他人が作ったものでは戦えないということが未来永劫続くであろう。だから自社の経営理念に沿ったBigData対応が求められることになる。これはすでに小売りや通販のシステムの中で相当蓄積されてきているもので、今まですでに手掛けていたところはピンとくるが、今までデータによるマーケティングを全然していなかったところには見当がつかないようなものだろう。
レジに商品が持ち込まれた時点で、顧客の性別や年齢層や、またその日の天気なども入力されるようになっていれば、すでにそのデータから何らかの分析はされて、活用されているからだ。
最近は防犯カメラの設置が多くなったので、これを活動して顧客がフロアをどのように歩き回っているのかを分析するとか、店員の働きぶりを分析するとか、だそうで、BigDataのシステムが云々の問題の前に、仕事の環境が変わる中でどのようにデータの取り込みをするかというところで、経営のクリエイティビティが問われることになる。
従来はお店の店員が顧客の顔を覚えていたように、これからは防犯システムが顧客の顔認識をして、相応しい対応をしてくれるようになるのかもしれない。こういうことを望んでいるわけではないが、過去には考えられなかったようなビジネスの仕組みを構築することが始まると思った方がよい。
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