投稿日: Oct 06, 2011 12:54:35 AM
製品の奴隷になりたくない方へ
10月5日に「打つ手はある!情報処理型パブリッシングで今ここまで出来る!~メディア制作の工数削減と情報発信のリアルタイム化~」というテーマで、株式会社オープンエンドと共同開発などをしているパートナーを含めて、これから出てくる製品やサービスのセミナーを行った。オープンエンドはシンプルプロダクツの時代から30年ほど自動組版のシステムを提供してきた会社であるが、ここでは従来と違う方向性を示している。目的とする印刷物を作るのにどうやって組版するのがよいかということ自身がソリューションの中心だった時代は、AdobeInDesignのデフォルト化によって終わり、その先の模索が始まっている。その一つはInDesignをリモコンで使うような方法であり、それならばいっそのことXSL-FOをクラウドで使うとか、そこらじゅうにインストールされているWordを使うか、などDTPの縛りから逃れようとする傾向があるなということが今回のパートナーの取り組みなどから感じられた。
最初にプレゼンをしたナレッジオンデマンド株式会社 はライティング・出版の会社であり、その代表取締役の宮下知起氏が、有料のWikiであるアトラシアン社のConfluence 4.0 を使った高品質なHTMLマニュアル制作の提案をした。わざわざConfluenceを使うのは、freeのWikiと違って、ほぼWordのような画面で記述・編集ができるからで、従来の「原稿→査読→紙面の整形」というのを共通してWikiの画面上でできてしまう。つまり従来のレイアウトが終わってからまた改訂があるような、出版間際までバタバタするものが、ネット上のライター・編集者・査読者の共同編集によって最短のリードタイムでできる。これは制作レスともいえるものなので、業者の方は辛いものかと思ったら、結構これに関連したメディア制作や作業が付随してあることがわかった。
このWeb向けのマニュアルの作業が意外に大変で、HTMLをマニュアルを簡便に作るツールがなかったり、外注するとコストが高いし、リードタイムが発生することがネックになっているという。Wikiはこの解決にはなるがConfluenceで編集済みのものをそのままWebにパブリッシュすることは抵抗がある場合があり、ナレッジオンデマンドではWebのCMSであるWordPress用にConfluenceからHTML変換するものをプラグインで用意している。この変換エンジンでWebと同じようにWordにもだせるようになり、そこから紙のプリントとかPDF、あるいは Smart ePub でeBook化できる。つまり編集が終わったらそのままWord体裁のマニュアルをマルチアウトプットでき、これをWikiからの一方通行で行うことで一貫性が保たれる。
今から書き起こすマニュアルはWikiで始めて最適化できるだろうが、過去のマニュアルの改訂や参照も同じようにできるといいはずだ。そこでオープンエンドとWordファイルをWikiに上げるものも開発するという。Wordが好きで使っている人がどれくらいいるのかは知らないが、ビジネスではデフォルトのツールであるので、Wordファイルをネットやいろいろなデジタルメディアで活用できるようにすることは、応用が非常に多くありそうだ。InDesignもWordも完成度が高くなるに従って、データ処理的には終着駅のようになりつつあったのが、それらと並存しながら全体効率をあげるようなフローに作り変えることが始まった。
(セミナー報告記事は後日続く)