投稿日: Dec 28, 2015 12:28:15 AM
ECという流通ができたことで、新たな市場が生まれたところもある。それは既存流通の中抜きとか海外展開とかであって、国内で過去から営んできたビジネスの分野ではなく、従来の事業者にとってはあまり活躍できるものではなかたかもしれない。むしろECが増え続けて小売業を圧迫することは今後も変わらないだろう。アメリカで新聞が斜陽になった大きな原因のひとつに広告の退潮があり、それはローカルなチェーンストアが大広告主であったのが、ECで事業縮小していったからであった。雑誌も同様に広告がひどく落ち込んでメディアが維持できにくくなった例である。
ECで伸びた中抜きとか海外展開などは既存のメディアを必要としない。中抜きの成功の最初のパターンはホテルや航空券の予約システムで、当日分の売れ残りをどこまで捌ききるかを努力するのに、時間のかかる他社の運営するメディアなどは利用できなかったらかである。これらは自社サイトで行うか、自社のシステムと連動したプラットフォーム型の代理業者で行うかになる。一般にいうECとはこのシステム連動するプラットフォームのことを指す。
つまりECのバックヤードでのビジネスのシステム化がなされていないと、他の会社のシステムやプラットフォームと連携して動くものとはならず、自社サイトに閉じこもっているだけでは市場に限界がすぐに来てしまう。インターネットの初期、だいたい前世紀の間に行われていたECの多くは、実際の在庫管理とは別にECがあるように販売システムが2重化していた。だからネットで申し込んでもその場で決済までは進めずに、「在庫切れ」という表示が出てきたり、メールで連絡が来ることもあった。21世紀なってからはそういうECは淘汰されていって、ECは信頼できる取引として非常に盛んに利用されるようになっていった。
生活者からすると、ECの最大のメリットは確実に手に入ることで、Amazonが伸びたように、配達時間まで示されるほど、さまざまなビジネスシステムが連携して動いていることに意味があるのである。同じECのプラットフォームでもヤフオクはシステム的にはまだeBayには遠く及ばないもので、同じ供給者から異なる複数の商品を買う場合に、まとめて送料がどうなるかなどの計算が自動化できないでいる。これらは完全自動化にはならないのだが、様々な条件から生活者が配送方法などを選択すると自動計算される半自動にはしてほしいものである。
ヤフオクや楽天が競争しているのは出品者の広告代理的な面で、ECの進化ではないし、また広告という点で他メディア(主としてWeb)に依存するのは、冒頭の話と合わせ考えてもスッキリしない点がある。
またヤフオクや楽天側にとっても出品者の側がシステム化していないとECそのものが進化しないというジレンマがあるのだろう。
Top → Articles デジタルメディアビジネスの記事 過去記事→Archive