投稿日: Jan 19, 2011 11:7:30 PM
両者はバッティングしないと思う方へ
2010年にKindleは800万台ほど市場に出て、iPadはワールドワイドでほぼその倍近い数出たようだ。製品の単価はiPadの方が何倍もするので、直接の利益はAppleの方が大きい。Appleは世界中に売っているのに対して、Kindleはアメリカの比重が大きいという差もある。Kindleはデバイスが売れた先にコンテンツが売れるという点が大きい。アメリカの図書売り上げの1割ほどが電子書籍になって、その7割はKindleであるということは、Kindleは図書売り上げの7%を引きつけているわけだし、その3割をAmazonが取っているなら、KindleのおかげでAmazonには図書売り上げの2%が入ってくることになる。これはまだ端緒であり、Kindleのビジネスモデルは順調に滑り出しているといえる。いったいAmazonは今後どの程度まで伸びると考えているのだろうか?
一方Appleはコンテンツ売り上げがどれくらいあるのだろうか? この場合iPadの方が世界中に分散しているので、コンテンツはローカルな社会でどれだけ対応するかが鍵になるが、AppStoreの審査などを考えると既存のデジタルコンテンツ以上の勢いでたくさん提供されるようにはならないだろう。iPadの登場時には魅力的な電子雑誌のサンプルが多く作られたが、iPadにつれてたくさん売れるようになった電子雑誌は無かった。iPad半年の経緯の中で電子雑誌は部数が当初の7割くらいにズリ下がると同時に、マルチメディアで手間のかかるオーサリングに疲弊感もでている。これは過去のフロピィマガジン、CD-ROMマガジン、DVDマガジンなど全般に共通していることである。
一方マルチメディアマガジンはYouTubeが実現しつつある。YouTubeの用途は多様になり、自分のやっているゲームの映像をキャプチャして攻略法をupする人もあれば、アナログレコードをかける人も、CGアニメをupする、HowTo・スゴ技を披露する人、珍しい新製品の紹介など、マガジンに向いたネタの宝庫となりつつある。今はマスコミがYouTubeネタを時々拾っているが、バラバラにあるYouTubeネタを編成して連続して見られるようにするフリーウェアも一部には使われている。YouTubeネタそのままを、paper.liやflipboardのようなマガジン化する無料ツールが広まる可能性がある。しかし有料化とか広告モデルでの電子雑誌はまだ展望がないので、iPadがコンテンツ関連で今後どれだけ稼げるかはわからない。
両者を比べると、見た目には派手なiPadの方がビジネスは見えにくいというか、可能性はいろいろあるというか、チャレンジの場であり続けるであろう。つまり夢を与える場である。2011年にはNewsCorpとAppleが共同で、iPad新聞を立ち上げる準備をしていて、スタッフ150人、予算3000万ドル程度で、2011年末には200万ダウンロードというプランがあった。その前提としてiPadが4000万台が出回わることを想定しているという報道であった。既存メディアからすると脅威を感じるものがiPadデバイスなのだろう。おそらく既存メディアはiPadのビジネスを夢見て散財する年になるのだろう。一方Kindle関連は評価の高い出版企画に向かっていく地味な年になるだろう。