投稿日: Jan 13, 2011 11:20:11 PM
時間の束縛が減りつつあると思う方へ
文具券や花券、音楽券、カード会社のトラベル券などの金券が廃止になりつつあるという。かつては金券はいつまでも換金しなければならなかったのが、昨年法律が変わって公示すれば換金期限を決められるようになったからだ。金券を廃止する理由は不景気で需要が減ってきたからだというが、個々に事情があるとしても、それらをギフトにする価値がなくなったからだろう。花はネットで注文するのが当たり前になったし、旅行も代理店の窓口のお世話になることは減った。CDもネットに喰われている。要するに背景にビジネスモデルの変化があって、そのうちでネット上に商流が移ったことによるものが多いと思われる。金券の自由さよりもネットの自由さの方が価値があるということだろう。
人が1日24時間過ごす中で、起きている間に接触するメディアは数々あるが、朝起きて新聞を見るとか、一家団欒でTVを見るとか、風呂上りにプロ野球ニュースを見るなど、マスメディアが生活のタイムキーパーになったり、行動を切り替える節目になっていた。これはこれで生活のリズムを作り出すという役割を果たしているのだが、ネットメディアはそれらの間を埋めるように使われるようになった。ケータイでどうでもよいものが売れた時期があったが、暇にあかしてネットに触れているうちに発見したものがその場で買える楽しさがあるからだ。つまりマスメディアとはバッティングしない補完的な位置にあった。何度も話題になった「放送と通信の融合」は、この段階では総和としてのプラスアルファはあまりなく、大きな動きにはならなかった。
その間にネットメディアの役割はどんどん大きくなり、TVコマーシャルの内容が入れ替わるような変節があった。その裏にはAISISとか販促への重点の移動などはよく言われることで省略するが、トラベルのように商流の一部はネットが主流になったことがある。今またスマートTVという言葉で新たな「放送と通信の融合」が起こりつつあるが、オーダーや課金など商流はネットが主導権を持つものとして組み合わせられようとしている。放送の世界は広告と有料チャンネルしか金の動くところがないのに対して、通信の方は金の動くモデルがいくらでも開発できるので発展の余地がある。
しかもTVのコンテンツでさえも、視聴者が自分の見たい時に見るという要望が強くなっていることが、スマートTVが今世の中に打って出ようとしている理由である。新聞をとらない人が増えることも、メディアが生活のタイムキーパーにならなくなってきたことを示している。CESの取材を見ていたら、マスメディアに支配されていた「時間」を個人が取り戻すのだ、という発言をしていた人が居た。それは「暇つぶし」から始まって、次第に1日24時間のサイクルの変化に、さらに資格取得や学校のような一定期間の拘束からの解放、会社の拘束の緩みや、ボランティアなど個人のコラボレーションの拡大、などの変化がありえるので、ネットメディアにはこれから長期にわたって高いポテンシャルがあることが感じられる。