投稿日: Oct 14, 2010 11:51:40 PM
日本人はFacebookをうまく使えるかと思う方へ
ソーシャルメディアが脚光を浴びているので、この新しいメディアには秘められた凄い能力があるように思う人もいるだろう。「これからはソーシャルの時代だ」という言葉はこだましている。Facebookはユーザー数が5億を超える世界最大のSNSで、アメリカ人の半分くらいが使うに至った。また人口の多い発展途上国でもそれぞれ1000万人レベルのユーザがいる世界的なサービスだ。今年半ばに5億の発表があった時に、日本は100万人でアジアの中でも低い方だったが、それからたった4ヶ月くらいで日本は150万人くらいになり、日本も「Facebookだ!」と言い出す人が増えている。Facebookはmixiや日本で発達したガラケーSNSと何が違うかを考えないと、Facebookを担ぐ理由が見出せない。
Facebookが今日の日本で騒がれるもうひとつの理由はマーケティング上の利用をもくろんでいるからだ。WebのトラフィックシェアでGoogleに匹敵するとか、広告インプレッション数でYahoo!を上回るまで成長している。マーケティング的には「ソーシャルグラフはいいアイディアだね」ということだろう。Facebook利用者である5億人の友達関係をソーシャルグラフと呼んで、それを既存のさまざまな外部のWebサイトと連携して使えるようにしている。ソーシャルグラフはFacebookと他サイトを持ちつ持たれつの関係にする。Facebook利用者が他サイトを見てよかった評価をそこの「Like」ボタンを押すことによって、本人のFacebookに反映させ、それが友達関係を通じて波紋のように広がる。これでFacebook自体がコンテンツを持たなくても、人々の関心の高いものの情報が集積することで、その仲介のFacebookが伸びる。他サイトもFacebookからの訪問者があるので、Social Pluginを利用するサイトはメジャーなところから増えていった。
これをヒントに「Like」ボタンみたいなものをすればいいのだな、と考えるのはあさはかだ。Social Pluginのような仕掛けは GoogleがGmailでやったものもあるがうまくいっていない。つまりFacebookは 広告で儲けて大きくなったわけではなく、しかもソーシャルグラフという仕組みそのものでもない。広告モデルやマーケティングを考えている人が手を出せるものではない。
Facebookにユニークな機能があるとは思えないのだが、利用者に支えられて、利用者同士がつながりあって大きくなった実績から逆に考えると、利用者の起床から就寝までの新しいライフスタイルを作り出すことと同期して、一体となって成長したように思える。つまり友人をフィルターにすることで自分の視野や世界の拡大が効率的に行える仕組みが出来上がった。Twitterとも似ているが、組み合わせて使われ、補完的な役割を果たしていると思える。
このようにFacebookが他サイトでのサービスや人のビヘイビアとのうまいつながりが作れた理由は何だろうか? これは創業者達の優等生のような優等生でないような微妙な怪しさにあると思う。これに近いものを感じるのが日本のYahoo/SoftBank
で、グレーゾーンのうまい取り扱いが大衆性を獲得する鍵となっている。役所や会社人間のマニュアル主義なら、利用面の規則が厳しくなり過ぎて市場を狭め、逆に若者の無手勝流で緩すぎると社会的に叩かれる。このバランスがとれることが、自然に「つながって広がる」コツのように思える。今度の映画の中にヒントがあるかもしれない。