投稿日: Apr 01, 2012 11:52:49 PM
日本では意欲的なベンチャーが出ないと思う方へ
マイコン黎明期にはBasic言語を覚えれば何でもできるという風潮ができて、なんらかの夢を抱いて始めた人が多くいた。そのうちいくらかの人は起業するとか仕事に役立てることはできた。実際にBasicを使いこなせた人は1%にも満たなかったのかもしれないが、それまでの電子計算機の専門職に比べてはるかに分母が大きかったので、社会にいろいろな変化があった。またその人たちはBasic言語に留まらずに、その後の技術変化に対応できたが、Basic挫折組はおそらくその後の言語も挫折したであろう。今スマホアプリが簡単にできるということで、取り組む人が増えていて、中高年でもいじり始めている人を時々見るので、少しBasicと似たところがあるなと思う。
これらの人は仕事なり生活の中で、こういうことができたら面白いとか便利なのにと思いつつも、それを試してみる機会がなかった。Webやケータイは広まったものの、それらは基本的にHTML・XML系のデータを扱うReadOnlyに考えられたものなのでBlog程度のツールしかなく、プログラムとなると白紙からjavaというのは荷が重すぎたのである。
この両者とも日本ではアカデミズムと無関係に、やりたい意欲を持った素人が勝手に参入してできるので、いろんな面に混乱はつきものである。それでも社会に何らかの作用はしている。しかしアカデミズムは殆ど役に立っていないともいえる。つまりこういうテーマを扱う学校は、ともすると苦手意識があって自力でできない人が学校に頼るとか挫折組を集めてしまうので、意外にパッとしなかったりする。つまり学校など行かなくても「やる奴」はやるからである。
日本の大学にも情報・メディアを扱う学課は随所にあるものの、大学案内をざっと見る限り、「やる奴」が勇んで来そうに無い雰囲気だ。つまり自力でできない挫折・気後れの人たちが多くいるから、そいつらの親から金を巻き上げようというビジネスに見えて、自分の学校からAmazonやGoogleやfacebookの裏をかくような人を輩出しようというような意欲の感じられる学校が非常に少ない。
かつては紙の新聞・出版に関してもジャーナリストを育てる学校というのがあって、大学を出てからもう一度そういったところで学んで、先生との人脈も作って、その業界にコンタクトする人たちが居た。デジタルハリウッドもおそらくはそういったモデルを描いていたと思う。しかし実際にネットメディアがこれだけ世の中で使われるようになってみると、それらに関する人材育成の機関は圧倒的に足りなくなっている気がする。アメリカの場合もすべての関連学校が新しい時代に対応できているわけではないにしても、やはりアカデミズムが新たな時代に適応する何かをもっている。facebookが学内のSNSとして出発したように、多くのネット上のサービスが学生アマチュアの実験に端を発している。
今ベンチャーの起業を助けようという動きはあるが、日本のアカデミズムが学生の実験の場になれて、規制との間でいろいろ問題も抱えるかもしれないが、それを乗り越える大きな志を植えつけることができれば、新たな何かを産むことができるかもしれない。