投稿日: Jan 25, 2011 11:33:4 PM
UHFや衛星放送の反省が足りないと思う方へ
TVを見ると地デジ切替キャンペーンが次第に露骨になって、アナログ放送が見れなくなるという脅しに変ってきた。確かドイツはデジタルTV世界一番乗りグループで、コンバータをタダで配ることで短期に切り替えて、アナログ停止は3年前で2番目になったと思う。日本がそうならないのは、新規にTVを買わせたいからだろう。一方デジタル放送のメリットを訴えるのに、生番組でクイズ形式の投票をリアルタイムにするものが増えている。しかしそれ以上にデジタル化のメリットを訴求しているようには思えない。とすると生活者視点ではなくデジタル化が進められているといわれても仕方がない。
日本のTV視聴に関して大きく変化したのはCATVとNHKで、民放はいくつかのキー局と各ローカル局というビジネスモデル以外のビジネスはほとんど開発できず、アナログ時代にUHFでも衛星でも、もてあましてきたのではないか。その先にデジタル化があっても何ら提案は起こらないかもしれない。他方、たとえば大学も予備校も映像配信による遠隔授業をしているし、オンラインのセミナーも増えてきた。日本の商業放送の出発点にはカトリックや教育出版、映画などいろんなジャンルの人が融合して民放を形成してきたことを考えると、今の状況はTVが新たに生まれ変わるにはふさわしいように思える。
勝手なことを言わせてもらうと、民放の番組は今のものを半分にして、半分は他業界とのコラボに開放して今までにないことを始めるくらいの英断が欲しい。なぜなら今のままほって置いても民放界は半減するように思えるからだ。それは家庭内録画による時系列放送とチャンネルの分解が進み、YouTubeのような映像コンテンツのフラグメント化が進み、オンラインのビデオレンタルが始まれば、音楽や環境映像の素材も含めて自分用視聴スケジュール編成するユーザがある程度増え、その人たちにとって垂れ流し映像はニュースだけで十分になるからだ。
これだけ社会に映像ネタが揃ってきた時代に、もしそれらをすくってパッケージサービスにする新たな活用を民放が提案できないならば、これから何も得るものはない。記事『時間を支配できなくなったマスメディア』では、マスメディアが個人生活において支配していた「時間」をスマートTVが解放するということを書いたが、解放とは既存の番組配信の分解が進むことであり、それによって民放はチャンネルというブランド価値を凋落させ、視聴者や広告を半減させ、今は外部から調達している番組もデジタルメディアにシフトして、番組の半分も失うのではないだろうか。