投稿日: Apr 09, 2012 12:21:11 AM
開発ネタが思いつかない方へ
記事『21世紀にネット上で発達するもの』では検索システムのことに触れたが、今インターネットで日常使われているものが完成した域にはないものは多く、奇をてらったシステムを発明することが求められているのではない。ごく普通に使って便利なものがもっと必要なので、パソコンで画面を見ながらマウスで指示したりクリックするよりも、画面を直接タッチするユーザインタフェースが受け入れられやすい。またケータイ電話も電子辞書もスイッチオンですぐに使えるようにしたから一般に普及したように、「当然」という方向に進む技術革新がある。これは地味なものかもしれないが、こういったことこそが利用面で新しい時代をもたらす。
メールというのも誰でも使うものの、迷惑メールとか、メール送受の順番がわからなくなったり、いろいろ煩雑なこともつきまとう。Webの無料メールも昔から使っているが、やはりGoogleのgmailが登場して以来は状況が変わって、サービスの質が高くなった。これはGoogleだけでなくGooメールでさえずいぶん改善され、迷惑メールからは相当解放された。また利用上の操作ミスも減った。つまりサービス利用者を増やしてシェアをとる方法として、サービスの質を上げる競争に入っているのがメールだった。しかしGmailといえども、サービス限界容量に達した時にどうすればよいのか、というのはまだ十分対応が考えられているとは思えない。
最近は一般に使われるサービスとしてSNSとか映像・画像・音楽投稿などのサイトがあるが、これらはまだメールの初期のようなレベルにあるものが多い。つまりメールなら送受ができるという基本機能を満たしたに過ぎない段階で、投稿者が自分のコンテンツを管理できる仕組みはまだあまりない。投稿者は別途PCで素材を管理しておくか、とりあえず投稿しておいてから、あとで自分でどこかにまとめてダウンロードしなければ管理できない。投稿サービスはクラウド型であるので、クラウドでコンテンツ管理をすることや、複数のクラウドのコンテンツをリンクさせて、次の段階のコンテンツを作り出すというのが次期のテーマになるだろう。動画クラウドの中から再編集する際に、音源クラウドのBGMを貼り付けるようなイメージである。
eBookというものもの、Blogの自然な延長の上にあるようになるだろう。つまりネット上で編集が無限にできて、それを何らかのメディア対象にパッケージ化してEPUBなどでデータ吐き出しする機能はBlogサービス側で持つべきで、個々の利用者がツールを使って変換するのでは、コンテンツの派生したものがいっぱい散らかって無駄が多い。
これらをまとめると、素材レベルのクラウドと、それらをオーサリングしたeBookとか、あるいはリンクばかりで成るコンテンツ定義のリポジトリと、それらを探すための検索システムへのメタデータのフィード、といようなものになっていくだろう。人が考え付かない奇策でビジネスを伸ばそうというのは無理があるのではないか。むしろ例えばeBookを売るのならば、過去からある書誌データという図書分類のメタデータや本屋の陳列方法などを研究して、その延長上に「再発明」していくのが順当な方法ではないだろうか。