投稿日: Mar 24, 2012 1:58:37 AM
自由の代償は大きいと思う方へ
パソコンからスマホ・タブレットへ、パッケージソフトからクラウドへ、というような大きな変化が始まって、IT業界も主役が入れ替わりつつあることを記事『IT関連価値変化の短期展望』では取り上げた。この記事の元となったのはITのビッグプレーヤーの動向であったのだが、それとの対照でユーザの環境がどのように変わりつつかという点でまとめなおしてみた。元のお題は次のようなものであった。
★ マイクロソフト時代の終焉
★ 高性能PCが不要になり、PCメーカーが衰退
★ インストール型ソフトが不要になり、ソフトメーカーが衰退
★ サーバーやネットワーク機器の設置が不要になり、設備業者が衰退
★ アマゾンや楽天がタブレットを販売
PCに伸びはない
PCやnoteなどマシンそのものの売れ行きが鈍化したり価格が下がっているだけでなく、WindowsOSやアプリケーションソフトが売れなくなり、新しいものが出なくなる。ユーザとしても購入費が少なくなるという面はあるにしても、役に立つものがなかなか出てこないので、投資対効果がよくないだけでなく、競争力をつけられなくなる。Sohoとか労賃仕事の人にはいかもしれないが、企業経営はPCに頼っておられなくなる。DTPがSoho化しているのはその現れである。
ソフト・サービスの移行
パッケージソフト販売が次第にクラウド化して、1回あたりとか月額の使用料金をとるようにビジネスモデルを変えつつある。これは結局強いところはさらに強くなり下位メーカーはボロボロになるモデルである。つまりソフトを買ってしまったから使わざるを得ないということはなくなり、ソフトを取り替えやすくなるから、寡占化が進むのである。しかしそもそも優れたソフトを出せるところは限られていて、マイクロソフトとかAdobeは上手に立ち回ればそれほど悪い時代ではないかもしれない。DVDが売れなくてもオンラインで使用してもらえばよいのと同じである。
寡占化で負けたメーカーは、ソフトを使った仕事の代行をするBPOのようなサービス(ネットでの外注化)に力を入れるようになる。制作会社との競争状態は起こるだろう。
システム部門の解体
クラウドサービスが伸びると社内と外部アウトソーシングの組み合わせを再考せざるを得なくなる。従来は社内は独自システムを作ることがあったので、そこでのシステム部門の発言力は強かったのが、パッケージソフトとインターネットの時代になって発言力はいったん弱まった。今度はネットでのコラボのような外部とのシームレスな関係を築くのが仕事となる。これは技術標準の採用と自社の競争力を保つ部分をどうするかという難しい課題であり、従来の運用主体の仕事から技術戦略にかかわる仕事へと移らなければならない。
ユーザ環境の2極化
PCがなくならないとしても、誰でもケータイを使っているように、いつもスマホ・タブレットを持ち歩いてユビキタスなコンピュータ環境で仕事をするようになる。利用者である社員やお客さまの利用面でのストレスは減っていくが、こういった利用ができるようにシームレスな利用環境を構築するとか段取りをする仕事が裏側で発生し、そこでは今まで以上にコンピュータパワーを必要とするところも出てくる。汎用のクラウドを使うだけでなく自社の各事業所から自由に使えるプライベートクラウドの構築とかヘビーなデータやマシンを使う技術も要求される。これらもすべて外注だと今まで以上に金がかかり、相当儲かる仕事をしていないとペイしないだろう。
データ管理体制の構築を
プライベートクラウドなど、社内の情報資産を自由に使える環境を作らないと、会社の競争力が低下してしまう時代になるのである。マニュアルの電子化など局部的な着眼ではなく、すべてのデータに対して、キャプチャした生データの管理、それらを正規化し標準対応にしてマルチ運用できるデータベース、過去の文書や作品のアーカイブ、など過去にはハードウェアや使用するソフトに依存していたデータをいろんなサービスに利用できるように、徐々に変えていかなければならなくなる。