投稿日: Dec 22, 2010 11:25:30 PM
国内は今後も閉塞状態が続くと思う方へ
日本で大学を出てもなかなか一流企業に就職できないということは今後とも改善されるはずがないものであって、優秀な人が才能を発揮して社会を変えるような働き方をするほうが本来のはずだ。しかし今日インキュベータ施設がそれほど活用されているとも思えないし、補助金の応募もそれほどない。日本でもそういった起業を支援するとか育てるようなところに制度的な何かまずさがあるのかもしれない。Webでもベンチャー支援サイトのようなものをときどき見かけるが、なぜかそれほど面白いとは思えない。ベンチャーが人のやっていないことに取り組もうとすると、隙間狙いのような小ネタになりがちで、実際にできることは小ネタに過ぎないとしても、もっと人を触発するような大きな志も感じさせるような位置づけとか演出とかも必要だろう。
企業のスタートアップの時のビジネスがそのまま何年も続くことは考えられず、環境に適合するように舵取りしながらビジネスの成長とか変遷があるので、中期長期的なビジネスのビジョンは具体的には考えてもしようがないもので、むしろ環境変化をどれだけ予測するかというのがビジョン作成には必要である。企業が成長していくモデルを考えると、サービスやメディアのビジネスにおいても、製造業が辿ったように、国内売り上げ半分/海外売り上げ半分、という時代を迎えている。教育産業でも日本の大学受験に特化したところは一部難関校しか競争状態でなくなるので、むしろ公文式のように世界中で使える方法の方が大きなビジョンが描きやすいだろう。
しかし世界戦略というのは大企業でないとできないと難しいと思うかもしれない。記事『プロジェクト的組織が強くなる』では世界的なコラボレーションで発達したオープンソースのことや、ネットでコラボしてプロジェクト的に仕事をする「Eランス」のことを採り上げたが、日本国内の組織であっても世界につながって広がりそうな設計をしておけば、大きなビジョンにつながっていくだろう。逆に今までの日本株式会社のような組織・採用・人事であるならば、ほとんど将来性は無いことになってしまうのではないか。日本人は自分が日本固有のさまざまなしがらみの中でしか物事を考えられなくなってはいないか、ということに気を配ばるべきだ。
ネット社会の行方についてはポストモダニティ議論がされたことがあるが、日本での経営については「ポスト企業社会」とか、「ポストGDP」とか「ポストマスマーケティング」とか「ポスト…」という視点で見直すべきことが沢山ある。これは経営をするのにもっとユニバーサルな考え方が必要だということであるが、ユニバーサルな考え方ができれば日本で経営ができるわけではない。海外でMBAを取得することが流行ったことがあるが、広い視点でもう一度日本の課題を考えることで、よりよいソリューションを見つけるためである。日本で海外留学や海外赴任の経験をしてきた人が増えるにしたがって、日本の脱企業社会化も具体的に議論され、取り組まれるようになるのではないか。ベンチャーはそういった潮流の先鞭であって欲しい。